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霧が晴れた村の真ん中に村民たちが集められている。その上空には鋭い氷柱が彼らに牙を剥いていて、聞こえてきた低い声を合図に、それらが一気に降り注いだ。
｢…………マズイ、！｣
｢炎魔法“爆殺散弾魔球”！｣
Aが動くよりひと足早く、マグナが魔導書を開いた。
発された火の玉が氷柱を残らず打ち砕くと、死を覚悟してぎゅっと瞑られた村民の瞳に安堵の光が宿った。
｢魔法騎士団が助けに来てくれた！｣
村民たちは虐げられていたのか、誰も彼もボロボロで、魔法騎士団の登場に涙を流して喜んだ。……一体何が起こっているのか。もう少し来るのが遅ければイノシシどころか村民が狩られていた。
｢ううう…おじいちゃんの祈りが通じたんだっ……！｣
｢！────…ジーサン！｣
そんな中、子供の泣き声がした。彼が｢おじいちゃん｣と呼び擦り寄っていたのは、ヤミとマグナとの賭けに勝ち、イノシシ狩りの依頼をした老人だった。血を流しながら孫の腕の中で脱力する男に駆け寄るが、その体は氷のように冷たい。
…………死んでいる。
｢────テメーの仕業かァァ！！｣
生き物というのはいとも簡単に死んでしまう。だからこそ大切にしなければならないのに、それなのに、大切な命を容易く奪うような真似をするやつを許せない。怒り狂ったマグナが怒鳴る先には、1人の男が座っている。男は冷酷なその瞳をAたちに向け、抑揚のない声に僅かな怒りを含ませた。
｢よくも時間を狂わせてくれたな。3秒後に全員処刑｣
直後、男の魔道士から発された巨大な氷塊が飛んできた。
マグナの魔力ではどうにもできない。Aがどうすべきか一瞬踏みとどまった間に飛び出して行ったのは、やはりアスタだった。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
