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｢実は俺も田舎出身なんだわ！ハージ村の少し上のラヤカ村！｣
｢マジすか！すげー田舎じゃないすか！｣
｢テメーにだけは言われたかねー！｣
マグナは豪快で熱血で暑苦しそうな人だと思っていたし、確かに暑苦しいのだろうが、面倒見がよくて心優しい人なんだということがひしひし伝わってくる。何やかんやで後輩に慕われるタイプだ。
(こういうお兄さんがいたら……きっと楽しいんだろうなぁ)
偉いぞー！と頭を撫でられ、胸がチクリと痛くなった。
魔法のことしか興味がない、Aのことを知ろうともしない“あの人”なんかより素敵だ。…………そう、“あの人”はいつも、Aのことを見てくれない。
｢お？どうしたA嬢。泣きそうな顔して｣
｢……え？｣
｢さては俺に認められたのがそんな嬉しかったか？可愛いやつだな！｣
一頻りマグナに褒められ終えると、待ってましたとばかりにいっせいに団員たちが集まってきた。最底辺だなんて言われる“黒の暴牛”に入るのは少しばかり抵抗があったけど、ここにいるのは暖かい人ばかりで、選んでよかったなぁ、と密かに思った。
｢それじゃあ洗礼の儀�△鬚笋蹐ΑＫ佑隼Δ蟾腓Δ辰討い�｣
｢これ美味しいから食べてみ？な？｣
相変わらず戦闘狂のラックは置いておいて、謎の少女から手渡されたカップケーキは美味だった。
｢ほらよ。テメーらのだ！アスタ、A！｣
投げ寄越されたローブを身に纏う。それは着ていた白のワンピースによく映える黒。何物にも染まらない、そんな色だ。｢ウフフ、ついでに｣とバネッサが杖を振ると、アスタのヘアバンドに“黒の暴牛”エンブレムが、Aの後頭部には長い髪を結ぶエンブレム付きのリボンがあしらわれた。すっきりした首元に、薄水色の髪が揺れる。
｢これでお前らも魔法騎士団“黒の暴牛”の一員だ！名に恥じない活躍をしやがれ！！｣
｢｢はいッ！｣｣
魔法騎士団員として、国と民を守り、最高の魔道士になるための物語が始まる。Aは気合を入れ直し、ぐっと拳に力を込めた。
｢よォーし！じゃあ俺が特別に“黒の暴牛”の激シブアジトを案内してやるぜェ━━━━！！付いてこいチビスタ！A嬢！！｣
｢ハイぃぃいいいいグラサン先輩ィ！｣
やっぱり必要以上に暑苦しいマグナがアスタを連れてアジトへ猛スピードで駆けていく。それを追うべきか迷うAの肩に、ぽん、と手が乗った。
｢この子は私たちが借りるわね｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
