Nursery tale_. Ⅰ【ブラクロ】 (ページ15)

今日:30 hit、昨日:35 hit、合計:42,587 hit

Page.13 ページ15

･

｢あーうるさいわね！頭に響くじゃないの！｣

｢うるせー！飲んだくれハレンチ女！｣

｢何ですってこの童貞不良！｣

｢童貞じゃねーし！｣

｢アレ、よそ見してると殺っちゃうよー？｣

｢我が女神である妹の名のもとに俺がお前らを殺る｣

2人がどれだけ叫んでも、団員たちは聞く耳を持たない。
近寄って声をかけようにも、ビュンビュン魔法が飛び交うこの中に突っ込んでいく訳にもいかない。どうしようかと2人が迷う中、黙って騒ぎを見ながら煙草を吸っていたヤミが動いた。

｢お前ら………──────モノ壊すんじゃねえ｣

((めっちゃ壊してる━━━━━━))

魔力を纏わせた拳で壁を殴ると、コンクリ造りの壁がバラバラと崩れ落ちる。それ1番説得力ないのでは？とAは静かに彼から距離を置いた。なんというか、ずっと傍にいたら命がいくつあっても足りない気がしたから。

一方の団員たちは、Aとアスタの声は聞くどころか反応すらしなかったにもかかわらず、ヤミが壁をぶち抜いた轟音にピタリと動きを止めた。そして、

｢お勤めご苦労っす！ヤミさァアアアん！！！｣

｢おかえり団長〜〜！｣

｢団長これ美味しいよ〜｣

｢団長、ちょっといいすか｣

ぱっと顔色を変え、Aとアスタを押しのけてヤミに詰め寄る団員たち。なんという変わり身の早さ、なんという反応速度。

ヤミのことはたいそう慕っているのだろうが、変わり者に付き従うのもまた変わり者であると、改めて実感したのであった。

･