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目に飛び込んできた大きな建物は、これからAとアスタが拠点とする“黒の暴牛”団アジト。中にどんな人がいるのかは知らないが、ヤミやフィンラル、そしてもう1人一緒にいた呪詛魔法使いのゴードンを見ていた限りではまともな人間がいる可能性の方が低い。それでも第一印象は大切。不躾のないようにしなければ、と一歩踏み出す……と、
━━━━━━━ドカァアアン！……
((いきなり壊れた────？！))
爆音と共に玄関が弾け飛ぶ。
そして煙幕の中から、騒がしい声が聞こえてきた。
｢ハイ怒った━━━━！覚悟はいいかコラァ！｣
｢いくないけどやろうよっ｣
｢あ〜〜〜飲みすぎた。頭イタ〜〜〜｣
｢うるせーバカヤロー共ォォオオ！！……今日も天使のように可愛いなマイリトルシスター｣
｢もぐもぐもぐもぐもぐもぐ｣
｢フシュー……｣
怒り狂って攻撃魔法を出す者、へらへら笑いながらそれを避ける者、鏡相手に鼻血を流しながら語りかける者、大量の酒瓶を周りに置いて酔いつぶれる者、そんな中でもひたすら机の上のケーキを貪る者。
最低最悪と言われるこの団でやっていくのは一筋縄じゃいかないと覚悟はしていたが、これは主張が強すぎる。つまらない意地など捨てて“金色の夜明け”に行けばよかったと早速めげそうになるAの横で、アスタが声を張り上げた。
｢今日から“黒の暴牛”に入るハージ村から来たアスタです！！
よろしくお願いしゃァア━━━す！！！！｣
｢君のとっておいたプリン美味しかったなぁ｣
｢それがテメーの最後の晩餐だァァ！｣
｢知らないオッサンと飲み勝負したとこまでは覚えてるんだけどなぁ｣
｢いい加減にしろよテメーら！テメーらクズの騒音が妹に聞こえたらどーすんだボケェエエエ！！！！｣
｢もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ｣
｢フシュー…………｣
……見事なフル無視。そもそもうるさすぎて声が届いていない。
更には｢プリンの仇ィイ！！｣という咆哮と共に攻撃魔法の流れ弾がこっちへ飛んでくるという始末。
(ダメだこりゃ…………)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
