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｢ああ、あれがリュネット家の＿＿＿｣
すれ違う人々がみな少女を振り返る。
分厚い
異色のオーラを放つ彼女を避けるのは周りの人々だけではない。
魔力がなければないほど群がってくるというアンチドリたちも、少女が一歩踏み出すにつれて散っていく。
(カワイイ鳥に嫌われた………もう帰ろうかな)
少女の名はA･リュネット。
生まれながらに強い魔力を持ち、魔法の腕前も大人顔負けだったことから王貴界でも有名人なのだ。半年前の魔導書授与式でも、“四つ葉”の魔導書に選ばれる者ではないかとあちこちで声が挙がるほどであった。あいにく伝説の魔導書には選ばれなかったが、Aはそれでもいい。この実力で上を目指せればそれでいいと思っていた。
｢もしかしたら“金色の夜明け”の団長も気に入るんじゃないか？｣
｢お兄様のこともあるし、間違いないだろう｣
｢じゃあ今年の目玉はあの子と…｣
｢下界の“四つ葉”だな｣
Aともう1人、この試験会場で注目を浴びる者……。
最果てと呼ばれるハージ村で育った下界民、しかしその実力はAですら手にできなかった“四つ葉”の魔導書に選ばれるほど強い。
その方向をちらりと見遣れば、その四つ葉の少年と目が合った。
話しかけるか否か迷ったものの、必要ないだろうと判断したAは軽く会釈だけして、彼の横を通り過ぎていく。
これはAと少年の、遠い昔の御伽噺。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
