研磨くんは甘えんぼ。【孤爪研磨】

18 ページ20

･









境内の奥に行くと開けた場所があって、私たちはよくそこで花火を見てたの。
たまに何人かちっちゃい子たちがいる事があるけど、今年は誰もいなかった。


研磨｢A、｣


とんとん、と隣を指されたからそこに座ると、当たり前のように肩に頭が乗る。


｢なあに研磨、眠いの？｣

研磨｢眠くない｣


って言ってる私の方が眠くなってきた。
今度は私が研磨の肩に頭を預けてると、珍しいね。なんて言いながら頭を撫でてくれる。


研磨｢………………で、テストどうだったの｣

｢今その話する？｣

研磨｢まさかとは思うけど徹夜なんてしてないよね｣

｢話噛み合ってない気が｣


延々とほっぺぷにぷにしてくる。地味に痛いんですけど。

まず徹夜なんてしないし。
はじめは徹夜で課題終わらせようとしてたけど
5分おきにお兄ちゃんが｢夜更かしは女の敵だぞ、さっさと寝ろ！なんなら俺と寝るか？｣って言ってくるからソッコー寝た。


｢頑張ったんだもん。美緒も褒めてくれたよ｣

研磨｢あっそ。ならいい｣


なんか素っ気なくない？
平均点だって前より5点以上も上がったんだし、 本音を言うと｢もうちょっと褒めてくれてもいいのになー｣って。絶対言わないけど。


研磨｢…………わかりやすすぎ｣


なにが？と言おうとしたけど、その言葉は出てこなかった。

ほんとにあと数ミリずれたら唇くっついちゃうんじゃないかってぐらいギリギリの所に、ちゅってキスされた。

突然の事でびっくりして固まる私を見て、研磨はふふ。と笑う。


研磨｢頑張ったご褒美｣

｢っ、//｣


褒めて欲しかったんじゃないの？って、ほんといじわる。真っ赤な顔を隠すように膝を立ててそこに顔を埋めると、頭上で何かが弾ける音がした。


｢あ｣

研磨｢綺麗だね｣

｢ほんと。めちゃめちゃ綺麗｣


空に大きな華が咲いて、騒がしかった境内も静かになった。









･

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す