第5話＿その十四 ページ11
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『妹ができた』
篤からそんなメッセージが届いたのは、あれから数時間後。すっかり辺りが暗くなった頃だった。
｢なになに、なんでそんな嬉しそうなの？ニヤニヤ笑ってるよ？｣
｢笑ってないし｣
｢心の話だよー、相変わらずの無表情だけどね、心が笑ってたよ今。何年母親やってきたと思ってんの｣
｢妹できたんだって｣
｢主語を言いなさいよ主語を｣
いきなり妹できたとかびっくりしたわ、と母親がAのスマホを覗き込んでくる。
元気よく産声をあげる赤ちゃんの動画を再生すると、｢可愛いねえ｣と嬉しそうに笑った。
｢ていうか、Aにも友達いたんだ｣
｢友達じゃないよ。ただのクラスメイト｣
｢嘘つけー、なら何でただのクラスメイトに妹できた報告するの｣
｢変わり者だからじゃない？｣
｢Aみたいね｣
｢バカにしてる？｣
不器用ながらも赤ん坊を抱っこする父親と、そんな危なっかしい父親を支える篤、それを微笑みながら眺めるマリア。
3人は紛れもなく家族で、確かに心の中で笑顔になったのかもしれない。
｢Aが産まれた時もこんなだったなあ。
道史くん産んだばっかの奈津子さんも駆けつけてくれたの。あーそう言えばお父さんはね、会議ドタキャンして病院来たんだよ？｣
｢バカじゃん｣
｢『この子がお嫁に行くまでは意地でも生きてやる』って言ってたなあ…………死んじゃったけど｣
仏壇の前に置かれた、満面の笑みの父の写真。
以前のAはそんな父親を｢嘘つき｣だと言った。けど、今は少しだけ、前向きになれるような気がする。
｢今年はね、花火見るの。お父さんが会いに来てくれるから｣
｢ふふふ、死んだ人が会いに来てくれるのはお盆ですよー｣
｢そんなこと言うんだったら一生花火見ない｣
｢冗談も通じないのウチの子は！お父さんも見てよ！ほんとにひねくれたでしょ？笑｣
｢ひねくれ者のDNAはお母さんからだよきっと｣
｢え、何それひっどい！｣
同じく片方の親を亡くした篤が家族を受けいれ、前を向いて歩き出したのだ。
それなら、Aが置いていかれる訳にはいかない。
(あれ、私いつから春日くんに対抗心抱いてんだろ)
この対抗心が恋心に変わるのはいつになるのやら。そして、事件は解決するのか。
Aが求めていた、"刺激的な夏"は始まったばかりだ。
To continue…
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枯葉猫(プロフ) - とても面白いです。続きがとても気になります。更新頑張ってください。応援しています。 (2021年1月8日 16時) (
レス) id: 96e0d3f560 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 瀬名くんの誕生日は6/5ですよ (2020年10月12日 23時) (レス) id: e5e1a06468 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - とても面白いです。頑張ってください。 (2020年9月17日 23時) (レス) id: fa4adc5e94 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - とても面白いです。頑張ってください。 (2020年9月17日 23時) (レス) id: fa4adc5e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だいふくリンゴ☆ | 作成日時：2020年9月8日 17時
