1カラットの雫【江口拓也】

第43話 ページ43

「うん…じゃあ、今日お昼行こ！」

別に喧嘩をした訳でもないけど、小さな仲直り

数日会話出来なかっただけで寂しかった俺は、何だか雲が晴れたように心はルンルンだった

『あの、江口さん、私───』

そう言いかけた時、ガチャリとドアが開く

「…あれ、お邪魔だった？」

ひょっこりと顔を出したのは良平さん

「え、良平さん！？」

『え！？』

良平さんがこんなに早く来るなんて珍しい
思わず2人して驚きの声が出た

「え〜、ごゆっくり〜」

って閉めようとするのを必死に彼女が止めた

『違う違う！』

そんな必死に止めるもんだから、少しだけショックだった

…え？ショック？

なんで？

「あー！てか、お前謝った！？」

そう東雲さんの頭を掴む良平さん

「ごめんなー！えぐ、こいつなんか無視してたんだって？はい、謝んな」

そうやってくいっと頭を押す

『わっ、あっ！ちょ』


「良平さん！大丈夫ですよ！」

離してあげて〜！

なんなら、今その話してたとこ！

『…あの、今その話してたから！』

そう逆らうように頭をあげる彼女

「あ、そうなの？わりぃ」

「謝った？」

『…』

「えぐ、謝ってもらった？」

「貰ってないですね」

『あ！江口さん！裏切った！』

お前〜！って言いながら再び頭を下げさせる

「はい、ごめんなさいは、羽衣」

『…っさい』

「声ちいせえよ」

『…避けててごめんなさい！！』

よしっと納得した良平さん

そんな2人の様子を見ながら、俺と東雲さんとの距離と違うものを感じて、少しだけ寂しくなった

「あれ、羽衣飯は？」

『え…』

ちらりと俺を見た

「あ、良平さんも行きます？収録終わったら」

そう話すと、一瞬良平さんは真顔になった気がした

「…行く」


良平さんともか！じゃあどこ行こうかな〜なんて思って考えると、モジモジとしながら彼女は俺を見た

あ、そう言えば、さっきなんか言いかけてたような…

「東雲さん、何食べたい？」

そう聞いてほしそうな顔してたから、声をかけると顔がパッと明るくなった

『あの…お寿司』

「寿司ー？昼から？んじゃ、えぐ、俺うまいとこ知ってるから俺が予約して…」

『あの、良平さんそのお店ってどんな感じ』

「うん？」

「えー？大将がうまい寿司握ってくれる。めっちゃ美味いから…『あ！じゃあ、違くて！』」

「なに」

『回るお寿司が食べたいの！』


「「…え？」」

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