1カラットの雫【江口拓也】

第5話 ページ5

人の出会いとはいつも突然で
“そのとき”はある日突然訪れた────


新しいアニメの収録に来た俺
収録始まる少し前くらいに着く

今日からということもあり、今日は顔合わせ

「おはようございます、
よろしくお願いしまーす」

と、まだ朝イチの声で小さく言うと
奥の席に向かう

ぼふりと1人がけのソファーに鞄を下ろして、腰をかけると、台本をチェックしてる風にちらりと視線だけで周りを見渡す

…初めまして多い感じか

あまり見た事がない方がチラホラ

台本のキャスト陣を確認すると
メインキャストは名前をよく知る人達で固められていたが、サブキャラは正直申し訳ないが存じ上げない


…わりと、女性が多い感じか

きっと有名な方も沢山いるんだろーけど
俺、正直現場では静かな方だし、
女性なら尚更で自分から声をかけることは無い
そしてこの界隈、割と人がいるし同じ現場になるって割と珍しい

ソワソワしてる様子を見ると…
結構新人さんが多いのかな？

なんて懐かしいな〜と思いながら見ていた

が、その中の一人、ふと目がいった子がいた

何故かは分からない
一人だけ、不思議な雰囲気を纏っている女性

まるでお人形さんみたいな透き通る白い肌
長いまつ毛で台本を読む姿は、どこかの物語で出てきそうなそんな感じの女の子

…すげ〜美人

あまり人と目を合わせないから、人の事なんてみないから美人とか可愛いとか分からないけど
きっと彼女のような子を美人というのだろう

…あんな子、いたんだ

そんなことを思っていると、
再び現場の扉が開く すると元気な声で

「おー！えぐおはよぉ！」

と俺を呼ぶ

台本から顔を上げると、珍しく朝から
元気な良平さん

「あ、おはようございます」

軽く会釈し、台本を閉じると

「今日は二日酔いじゃないんですね」

なんて、笑いながら茶化して言うと

「おまっ、俺が毎日二日酔いだと思うなよ〜」

なんて、可愛く怒る

本当に可愛い人だなーなんて思う

すると良平さんは

「羽衣！」

そう言って俺から離れると、あの一際美人な女の子の元へと向かう

「久しぶりだな〜！元気にしてた？」

流石良平さん
フレンドリーかつ、人たらし
俺とは大違いだ

きっとほかの現場で仲良い人なのかな〜
なんて2人を見つめていた

羽衣と呼ばれた女の子の方も台本から顔を上げ
良平さんをみつめて、席から立ち上がると

『おはようございます』と頭を下げた

良平さんは親しいそう話すけど、
彼女丁寧に挨拶をした

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