第38話 ページ38
貴女side
『…はぁ…』
買ってきたコンビニの袋を持ち、椅子に座りながら小さくため息をついた
『…感じ悪かったよね…』
自分でもわかっていた
さすがに失礼だと
分っていたが、どう顔を合わせていいか分からなかった
だって人前で泣いたのはいつぶりだろうか
役で何度も泣いたことはある
だけど…
『もぉ…なんで泣いちゃったんだろう』
泣き方なんてとうに忘れていて
涙なんてとうに枯れていたはずなのに
あの時ばかりは涙が出てしまったから
自分でも驚いて、そして人前で泣いてしまったことにどうしたらいいのか分からない
コンビニの袋からおにぎりを一つ出す
『…ご飯、行きたかったなぁ』
素直になれない自分を少しばかり後悔する
『楽しかったなぁ…』
彼と食べた食事は本当は楽しくて
毎度誘ってくれたのが嬉しくて
…本当は────────
『…江口さんと食べるご飯、美味しかったなぁ』
また行きたい
そう思いながら、おにぎりの開け口に手をかける…
ピリッ
「…なーにしけた面してんだ」
『あだっ』
急に頭をポコンと軽く叩かれて振り返るとそこには良平さんがいた
私が何か言う前に、私の隣に座ると
「なに、それ飯？」
そう聞いてきた
『そうですけど？』
「…えﾞ」
『え、なに』
「…足りんの？」
いつもそんなのおやつじゃん
なんて言う
…失礼な！
『足ります〜！今ダイエットしてるの！』
…なんてまたつまらない嘘を1つ
そんな私を3秒くらいじーっとみた良平さんが、少しクスッと笑った
「分かりやす〜」
『…なにが？』
「ほらっ、行くぞ」
『え、あっ、ちょ』
そう私の腕を取ると彼は立ち上がって何処かへと連れていく
『待って待って！何処に行くの？』
「え、飯」
『え！？いや、だから私…「ねぇ、イタリアンでいい？」』
『え、だから私…おにぎり開けちゃったってば！』
「んなの、先っちょ少しだろ？いますぐ戻せばいーじゃん」
『だ、ダイエット…「羽衣は細いから食えって。しなくていーわ」』
『でも私っ…「あー！うるさい！」』
くるりと私の方を見て
「俺と今から飯食いに行くの！いい？分かった！？」
半ば強引に連れていかれる
「大体ね、そんな湿気た面してご飯食ってたって飯に失礼だわ！」
『え、そんなに酷かった？』
「うん、めっちゃ」
やばいよ、鏡見たら？なんて言われる
…そんなに酷かった？
「…店で聞いてやっから」
そう言って彼は私の手を引いた
…なんだ、心配してくれてたんだ
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雅 - サチさん» サチさん、コメントありがとうございます。今後どうなるか、続きも読んでくださると嬉しいです。3人の関係を沢山出せたらな、と。 (2021年3月18日 20時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！これまた、雲行きの怪しい感じなのでしょうか…主人公ちゃんが傷つかないことを祈ります。そして、良平さんと江口さん…どうなるんでしょうか。楽しみです！ (2021年3月17日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。返信遅くなりすみません。均等に登場できるよう頑張りますね。感想、いつも楽しく拝見させていただいてます。 (2021年3月7日 15時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！…すごく良いです。江口さんとの会話も。でも、良平さんが気になる… (2021年3月6日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもありがとうございます。ご返信遅くなりすみません。大体のオチは決めてありますが、少し変わるかもしれないですので引き続きどうなるか見ていただけたらなと思います(*^^*) (2021年3月3日 7時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年1月28日 23時
