第27話 ページ27
「にしても、よく食うな〜」
昔から細っこい体してよく食べる
『だって美味しいんだもの』
そう幸せそうに笑うのを見て、俺も嬉しくて微笑む
「そりゃよかった」
『相変わらず良平さんはあんまり食べないね？』
「俺はお酒と楽しんでるからいーの。お前と違って大人なの〜」
そう言ってワインを呑む
『ほら、またそうやって大人ぶる』
私より少し早く生まれただけなのに〜！って
彼女は言った
モリモリとでも礼儀正しく食べる羽衣を見ながら一つだけ気になってたことを聞いた
「あれからどーよ」
“あれ”とは、彼女のお父さんの事
彼女は食べていた手を止めると、
『聞きたい？』って焦らすように聞いてきた
「んーまぁ、言いたくないなら聞かない」
良平さんは優しいな〜なんて彼女は言いながら次に紡がれた言葉に俺も思わずワインを呑んでいた手を止めた
『うん、あのね…口聞いてない』
「…マジ？」
『うん、本当』
人の親を悪くいう気は無いが、前々から正直いって羽衣の親父さんはなんか苦手だ
自分の我が子を商売道具としかみていない
「大丈夫か？もしアレなら俺の家にでも…」
『大丈夫だよ』
『…もう逃げたくないから』
そう言う彼女は少し弱々しく微笑み、夜景を見つめた
『…綺麗だね』
「ん？う〜ん、そうだなぁ」
もう見なれてしまった景色
もういい時間なのに未だにこれからだと言わんばかりに明るい街
『良平さんは…良平さんには』
「うん？」
『…ちゃんと見届けて欲しい』
それだけ言って俺を見つめる
何が言いたいかそれだけで伝わった
だから──────────
「当たり前だろ〜何年お前の兄ちゃんやってると思ってるんだ」
こんな小さい時から一緒なんだから
と態とらしく指で示すと『そんな小さくないよ』って笑った
…何年お兄ちゃん…か。
あれから俺は、お兄ちゃん止まり
羽衣にとってはさ
俺ってどう見えてる？
…あの時の約束、覚えてる？
「羽衣さ」
『うん？』
ゆらりと揺れるパールのイヤリング
「付き合おっか」
『…え？』
越えられなかったお兄ちゃんの壁
“あの時”から止まっていた歯車
その歯車がカチッカチッと音を立てながら動き出す
…もう、あんな思いをさせたくないから
…もう一度、笑って欲しいから
「聞こえなかった？じゃーもっかい言うわ」
『…え？待って待って…』
「羽衣、付き合おっか、俺ら」
パールのイヤリングにレストランの照明が反射してキラリと輝いた───────
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雅 - サチさん» サチさん、コメントありがとうございます。今後どうなるか、続きも読んでくださると嬉しいです。3人の関係を沢山出せたらな、と。 (2021年3月18日 20時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！これまた、雲行きの怪しい感じなのでしょうか…主人公ちゃんが傷つかないことを祈ります。そして、良平さんと江口さん…どうなるんでしょうか。楽しみです！ (2021年3月17日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。返信遅くなりすみません。均等に登場できるよう頑張りますね。感想、いつも楽しく拝見させていただいてます。 (2021年3月7日 15時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！…すごく良いです。江口さんとの会話も。でも、良平さんが気になる… (2021年3月6日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもありがとうございます。ご返信遅くなりすみません。大体のオチは決めてありますが、少し変わるかもしれないですので引き続きどうなるか見ていただけたらなと思います(*^^*) (2021年3月3日 7時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年1月28日 23時
