第14話 ページ14
のぶと別れた
家に入ってすぐに
シャワーを浴びようと服を脱ぐ
ふわりと香るタバコの香りとアルコール臭
…先程の飲み会が過ぎる
「…羽衣ちゃんと帰れたかな」
ま、あいつも子供じゃないし
…いつまでも止まってるのは俺の方か
それもこれもさっきの懐かしい思い出のせい
キュッとお湯の蛇口を捻ると温かいお湯が俺を包む
……思い出の中の羽衣はすごく笑ってる
帰ってきたのは嬉しい
“まだ”演じることを好きでいてくれて嬉しい
同じ世界に、また一緒にいれて嬉しい
嬉しい、嬉しいが…
───羽衣はあの時みたいに笑わなくなった
正確には“笑えなくなった”
二度と“あんなこと”は起こさせない
「はぁ」
頭からシャワーのお湯をかぶり
1度だけため息をつく
……大丈夫、大丈夫だ
また戻ってきてくれたのだから
俺がきっと必ず────────
「───俺がまた絶対笑わせてやる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6年前──
『あの、良平さん』
「おう！羽衣！最近すげーじゃん！」
小さい頃から羽衣のことは大切にしていたから
彼女の活躍は凄く嬉しい
『すみません、今日夜予定ありますか？』
話したいことがあって
そう珍しく言ってきた
だから俺もなんかあると思って
「あー…深夜でもいい？遅いけど。どした？」
本当は翌朝早くて時間なんてなかった
『あーでは、また今度で大丈夫です』
「え？大丈夫？」
『うん』
「そっか、無理すんなよ〜」
そう言って頭をポンポンとする
思い返せば、この時
しっかり彼女の話を聞いていたら
しっかり彼女を引き止めていたら
“あんなこと”なんて起きなかったかもしれない
ザワザワとする会場
スポットライトがステージ真ん中を照らす
そこには綺麗な衣装で今日も綺麗な羽衣がいる
ただ一つだけいつもと違うこと
大きく違うこと
喉を必死におさえて口を
パクパクとしている彼女
全身が冷えていく気がした
涙目で、何度も何度も口を動かし
手で喉をおさえる 首はそのせいで
赤くなっていて
ザワザワとする会場
スタッフが駆け寄る
ゆっくりとおりていく赤い幕
泣き崩れ、ステージ真ん中で蹲る彼女
綺麗なレースの衣装がステージに広がり
それはそれは綺麗かつ目で見ている世界は
地獄絵図
声優 東雲羽衣は大事な声を失った
声の仕事にとって何よりも大切なものを
綺麗に輝いていた宝石は
突然割れてばらばらと砂と同然になったのだ
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雅 - サチさん» サチさん、コメントありがとうございます。今後どうなるか、続きも読んでくださると嬉しいです。3人の関係を沢山出せたらな、と。 (2021年3月18日 20時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！これまた、雲行きの怪しい感じなのでしょうか…主人公ちゃんが傷つかないことを祈ります。そして、良平さんと江口さん…どうなるんでしょうか。楽しみです！ (2021年3月17日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。返信遅くなりすみません。均等に登場できるよう頑張りますね。感想、いつも楽しく拝見させていただいてます。 (2021年3月7日 15時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です！…すごく良いです。江口さんとの会話も。でも、良平さんが気になる… (2021年3月6日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもありがとうございます。ご返信遅くなりすみません。大体のオチは決めてありますが、少し変わるかもしれないですので引き続きどうなるか見ていただけたらなと思います(*^^*) (2021年3月3日 7時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年1月28日 23時
