君の彼女まで、あと１センチ。

10cm ページ10

「もう分かったでしょ？

ヒョクは、ストラップがぽんぽん当たってたのを誰かに叩かれてると勘違いして。

怒って振り返ったら、いるのは校長。」

「うわ、つら！」

「まだ悲劇は続くの。

ヒョク、そこで、




“校長、いくら校長と言えどもこれはちょっと…”




って言ったの！」

「待ってどゆこと？」

「あれでしょ？

校長がずっと脚触ってたと思ったんでしょ？」

「そ。でね、まだ続きがあって。

私、これ居合わせちゃまずいと思ったから3階で階段上るのやめたの。

本当は4階に行きたかったんだけど。

そしたら、声だけ聞こえたんだけどね？




“ミョルチ、俺は魚じゃない。

ミョルミョルしてんじゃない！”




って校長が言ったの。」




…何だそれ。




「ちょ、意味分かんない。」

「待ってミョルミョルって何！」

「やばいイスマン弾けすぎ！」

「さすがイットーリオエマヌエーレ！」

「それ違うって！

それだとイドンヘ、イヒョクチェ、イソンミンじゃん。

イスマン校長入れるならマルフォーイでしょ。」

「え、あたしそれ知らない！」




…何だそれ。




「イが4人でフォーイ、からのマルフォイ。」

「くだらな！」

「ねぇ、めっちゃ今更な質問して良い？」

「駄目。」

「…こーゆうとき、Aって最強に塩だよね。」

「てか塩って言い方、ユリがすると」

「言っちゃ駄目スヨナ！

古いとか言ったらユリヤ泣いちゃうから駄目！」

「…まじ扱い酷くない？」

「あー、泣かないで泣かないでー。」

「大丈夫よユリヤ。」

「…もう私の味方はAしかいな」

「塩は古くなっても品質に影響はないから。」

「…もうやだ。」

「あっは、可哀想になってきたから言って良いよ。」

「何だかんだAって優し」

「うん、言わなくて良いのね？」

「エマヌエーレって、何ですか！」




「…実はあたしも知らない。」

「あたしも。」




沈黙。




「…あのさ、まず根本的に3人とも違うんだけど。

イットーリオ・エマヌエーレなんて、存在しないよ？」




「「「え。」」」




「少なくとも歴史上の偉人にはね。

イットーリオって、ヴィットーリオを捩ったんだからね？」




再び、沈黙。




「…うん。ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世って人がいるのね。

サルデーニャ王、そしてイタリア王国の初代国王。」




…。




「それ、あの人たちに関係あんの？」




ごくり。




唾を飲む音がする。




「何も。」




がくっ

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