緋龍を守る五龍の戦士第３章【暁のヨナ】 (ページ10)

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第１０６話ページ10

〜Aside〜

ハクと様々な話をしていると、
ヨナ姫が走ってくるのが見えた。

何事かと思って耳を澄ませると、
どうやらヨナ姫は私の事を探しているらしい。

ﾊｸ「お前、何やらかしたんだ？
やるならバレないようにやれよ」

貴『残念ながら身に覚えがないな。

実は私じゃなくてハクが何かやらかしたんじゃないの？
妹に罪を擦(なす)り付けるとは酷い兄貴だ』

ﾊｸ「何でだよ！」

貴『フフン。仕返しだ』

べー …っと舌を出してハクをからかっていると…

ヨナ姫が近くまでやって来て、
木の上に居る私に気付いた。

ﾖﾅ「A、そんな所にいたのね！
ちょっと話があって」

貴『話ですか？
降りますからちょっと待って下さい』

そう言って私は木から降りると、
ヨナ姫の元へ向かった。

貴『お待たせしました。

それで、話とは？』

ﾖﾅ「あのね…
Aも私の事、名前で呼んでくれないかしら？」

貴『既に呼んでますよ？』

ﾖﾅ「そうじゃなくて！

呼び捨てで呼んで欲しくて…
後、敬語もやめて欲しいなって思って」

貴『いやいや…

貴方を呼び捨てで呼んだりなんかしたら、
間違いなくじっちゃんに叱られます！！

敬語を外すなんて以ての外！』

ﾖﾅ「確かに、ユン達とは違って…

Aとは姫として出会ってるから抵抗があるかもしれないけど、ムンドクには私がちゃんと言うから！」

…そう言われても困るんだけどな…

それにハクがすっごいこっち見てくるし…

ﾖﾅ「私、Aの事は初めてできた友達だと思ってるの。

それに…青龍の里で私達が最初に閉じ込められた時、
咄嗟だったとしてもAは私の名を呼んでくれたわ」

貴『その節はすみませんでした』

ﾖﾅ「謝らないで？私はすごく嬉しかったのよ。

さっきの夕食の時に青龍にも呼ばれて、
Aにも呼んでもらいたいって強く思ったわ。

女同士のAとはもっと仲良くなりたいの！
だからお願い！！」

あまりにも必死にお願いをするヨナ姫を見て…

私は『コレは絶対に引いてくれない』という事を悟り、
渋々受け入れる事にした。

貴『…分かりましたよ…。

…いや、分かったよ。コレでいいでしょ？ヨナ(･･)』

ﾖﾅ「ありがとう！A！
これからはもっと仲良くしましょうね」

…じっちゃんと再会した時が怖いな…

不本意だけどそうなったらヨナの後ろに隠れよう。
うん、そうしよう…