緋龍を守る五龍の戦士第３章【暁のヨナ】 (ページ9)

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第１０５話ページ9

〜Aside〜

みんなで夕食を取り終えて各々が自由に過ごす中…

私は水を飲みに川へと向かった後、
近くにあった木の上に登った。

しばらくそこで風に当たっていると、
下からハクの呼ぶ声が聞こえた…

ﾊｸ「A」

貴『んー？なんか用？』

ﾊｸ「用ってほど大したことじゃねーよ。

ただ…お前を一人にするとすぐに居なくなるからな。
兄貴としてしっかり見張っておこうと思っただけだ」

貴『私はガキか！！』

…ったく、一体何なんだ…

こういう時のハクはいつもよく分からない…

そんな事を思っていると、
ハクが再び話しかけてきた。

ﾊｸ「お前、ホント昔っから
木の上とかそーいう高い場所が好きだな…」

貴『高い所は遮るものがないから風を感じやすいだろ？
風に当たるの気持ちいいから好きなんだ。

…それに、なんか落ち着く』

ﾊｸ「ふーん…。

…背中の怪我はどーなんだ？」

貴『ユンに手当てしてもらったし、
薬も飲んだから平気だよ』

私がそう答えると、ハクは「それならいい」と言った。

貴『ってゆーか、
アンタいつまでもここに居ていいの？』

ﾊｸ「あ？何で？」

貴『何でって、お前はヨナ姫の護衛だろ…』

ﾊｸ「アイツらが居るからヘーキだろ。

青龍もお前と一緒でどっかに行ってたけど、
何かあれば戻ってくるだろうしな」

貴『私も何かあれば戻るけど…？』

ﾊｸ「知ってる」

…うん。やっぱり何か変だ。

さっきの怪我の話が本命かと思ったけど、
どうやら違うらしい…

いつにも増してハクが私から離れようとしない…
まだ何かあるって事か…？

ハクの事で頭を悩ませていると、
またまたハクが話しかけてきた。

ﾊｸ「…なぁ、A」

貴『今度は何さ？』

ﾊｸ「青龍の里で俺と別れた後、一体何があった？」

貴『何とは？』

ﾊｸ「お前の様子が変だったし、
ユンがお前を引き止めてたからな…

青龍を探しに向かった時に何かあったんじゃねーのか？」

ハクの質問を聞いた私はハァ …っと息を吐き、
質問に答えるために口を開いた。

貴『…里の者達が青龍の事を悪く言ってたから、
ちょっと反発しただけだよ』

…青龍の里が私の里に似てたからなんて、
今はまだ言えない…

ヨナ姫達は勿論、ハクや風の部族のみんなにだって、
あの事(･･･)は話していないのだから…

でも…
いつかは全てを打ち明けられる日が来るのかな…？