慌てて離した手 チャニョル ページ8
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「A〜〜入るぞ〜〜」
「ちゃにょる...」
部屋の奥で聞こえたか細い声に駆け寄る
「うっわすげえ熱。よく昨日の仕事耐えたな」
偉い偉いと頭を撫でてやると安心したようでほっとした顔になった
小学校から仲のいい幼なじみのような俺らは付き合ってもないのにお互いの家の合鍵を持ち家族のような存在になっていた
「お前はさぁ、頑張りすぎなんだよ」
「チャニョルに言われたくない」
「俺はある程度限度がわかってるからな」
「インフルエンザで仕事してたのどこのどいつよ」
「ははっ、俺」
「その時看病したのは？」
「Aさんでーす、そのせつはアザース」
「感情なさすぎ、ダメ、失格」
「はいはい、わったからこれ食べなさいな」
彼女に差し出したのはみかんのゼリー
「風邪といえばこれよね」
へへっと満足そうにゼリーを黙々と食べる幸せそうな横顔を見つめていた
「なんでこういう時に限って私の横にはチャニョルなのかなぁ」
「んだよー、長身イケメンのチャニョルさんだぞ」
「それ自分で言わないでしょフツー」
やっと見れた笑顔に安心すると、ニヤリと小悪魔が笑った
「チャニョルわかりやす、今ほっとしたでしょ」
「あ、あたりめーだろ...」
「ほんと優しいねチャニョルは」
「まあな」
ゼリーを食べ終わった彼女が少し思いつめた顔をしていた
「チャニョルはいい人だから...早くいい彼女見つけんだよ」
「んだよそれ、お前こそ見つけろよ」
「うん、そうだね...」
そういって窓を見つめる横顔は今度は寂しそうで
その消えてしまいそうな手を捕まえた
《慌てて離した手》
その消えてしまいそうな手が俺の手を掴んだ時、なにかが崩れ落ちる音がした
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作者名：しいたけ | 作成日時：2017年2月6日 23時
