【鬼滅の刃】まだ題のない物語

無題 陸 ページ7

貴女side





悲しい目だが、その目はしっかりと私を見ている。





｢だがな、悔やみを怒りに変えて誰かにぶつけるのは違う。



確かにお前が優秀な医者だったら母さんを助けられたかもしれねぇ。


お前が鬼舞辻より強かったら有馬は無傷で、お前も鬼にならず、


これから鬼になっちまった鬼も、殺されちまう人も救えたかもしれねぇ。






だがそれは無理な話だ。お前は幼かったし、鬼の知識も何も持っていなかった。





過去を変えることができる日は来ねぇ。



これから何年、何十、何億年が過ぎようとな。｣






おじいちゃんの言う通り、過去を変えるなんて無理。


じゃあ、このモヤモヤは、変な気持ちはどうやったら消えるのか。





おじいちゃんはそのまま続けた。




｢…でもな、過去以外に変えられるものがあるんだよ。




それは未来だ。




お前が今から馬鹿みたいに強くなって鬼舞辻を倒しちまえばいい。




過去の悔やみを力にして。



あ、だが、悔やみを決してさっきみたいに負の感情に変えるな。




それはただの復讐だ。



その負の感情は鬼舞辻を殺してもお前を食い続けるぞ。





いっぱい悔しがって泣きゃいいんだ。



じいちゃんでも婆さんでも、受け止めてくれるやつがいるなら誰でもいい。





その悲しみを誰かに訴えろ。





それで気持ちが軽くなりゃあいいんだ。｣






｢うん…｣






よし、とおじいちゃんは私の頭を撫でてくれた。





｢明日、ちゃんとあの坊主に謝ってこいよ｣





『うん…』







｢あれ、Aちゃん！｣


『炭治郎君！』






次の日、蝶屋敷に行くと炭治郎君が出迎えてくれた。






『あの、炭治郎君。伊之助は…』


｢あ、ごめん。まだ伊之助も善逸も寝てるんだよねー…



でも昨日すごかったんだよ！

伊之助と善逸、全集中の呼吸を一日で会得しちゃったんだ！｣



『えっ、そ、そうなの！？』



｢うん、それで二人とも疲れてぐっすりなんだよ。｣






すごい。一日で会得したのもすごいけど。





私があんなこと言ったのに、ちゃんと集中してできたんだ。良かった。









炭治郎君はきよちゃん達の手伝いで去って行き、私は伊之助と善逸君が寝ている寝室に取り残された。

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