43 ページ45
君下をベッドから車椅子に移動させて廊下に出ると、君下は屋上に出たいと言った
ここの病院は屋上へ続くスロープがあるため車椅子でも行くことができることをこの前初めて知った
屋上に出てみるとフワッと髪が風になびいた
もう夕方ということもありちょうど夕日が綺麗に見える
『久しぶりに外でた〜…すごい、夕日綺麗だね』
僕の方を振り向いて柔らかく笑う君下の顔が夕日に照らされていつもより柔らかい表情に見えた
フェンスの近くに移動して街を一望する
『なんかこの街…だけじゃなくこの国守ってるって考えると改めてすごい仕事してるんだなって思う』
街に向けられた君下の眼差しは揺るがない正義の象徴とも捉えられる
君下の隣に立って、僕もまたここからの景色を眺めたあとにふと横を見ると、彼女は真剣そのものとも憂いを帯びているとも思えるような表情をしている
その横顔に見惚れているとそれに気づいた君下と目が合った
『どうしたの？私に見惚れちゃった？』
いつものようにふざけてそう言うものだからすこし安心した
「そうだよ。君下の横顔があまりにも綺麗すぎてつい見すぎた」
『え、そんなストレートに言われるとちょっと恥ずかしいかも…でもありがとう。こんな傷だからけの私でも綺麗って言ってくれて』
そう言って困ったように笑った
傷だらけなんかじゃない、正真正銘君下は綺麗だ
『きっと普通の女の人だったらこんなボロボロじゃないよね。もう30になるからちょっと落ち着いた感じにしようかなとか少し趣味を増やしてみようかなとか思うのかな…』
まるで独り言のように、自嘲気味に零した
しかしその表情は今見ている景色とは裏腹に曇っている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちのせ(プロフ) - ゆうかさん» 読んでいただきありがとうございます！お話まとまったら書こうかな〜と思います！ (2月26日 23時) (
レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです！新しい作品も楽しみにしてます！ (2月26日 19時) (レス) @page49 id: d38f1b774d (このIDを非表示/違反報告)
いちのせ(プロフ) - リュウさん» コメントありがとうございます！更新ゆっくりですみません>< 気長に待っていてください、、、！ (2月1日 20時) (レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - めちゃくちゃ続きが気になります!!お仕事頑張ってください！ (1月31日 3時) (レス) id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
yuka.125(プロフ) - 忙しいなかコメントありがとうございます！これからも応援してます！ (1月13日 8時) (レス) id: 6cd4b73c69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2023年11月22日 21時
