37 ページ39
「色々と大変なんですね、降谷さんも…」
「本当に大変だよ。アイツ、見てないとフラフラどっかいくからな」
目を離せばすぐにどこかにいってしまう。だから怖いんだ。いつか僕の前からいなくなってしまうのではないかと
そんなことを思っていると病室のドアが開いて診察を終えた医師と看護師が出てきた
「君下の容態は…」
「脳に異常はありませんでしたが肋骨と左脚の骨折、そして全身を強く打ちつけられたことが原因の全身打撲」
ここまで聞いただけでもどれほど酷いものだったのか身に染みてくる。隣にいる風見が顔をしかめる気持ちも分かる
「そして、右目ですが…視神経の損傷によりほぼ見えていない状態です」
「そんな……」
風見が俯きがちに声を漏らした
君下になんて声をかけたらいいんだ
どんな顔をしたらいいんだ
アイツはどんな顔で今の医師からの説明を聞いたのだろう
この仕事に対しての誠実さとプライドは人一倍持っている彼女が耐えられるはずがない
説明を終えた医師と看護師は会釈をしてその場を去った
廊下に残された僕と風見はお互いに顔を合わせることも無くただ立ちすくんでいた
「すみません降谷さん…私はまだ君下さんに会う心の準備ができていません……」
よほどショックだったのだろう。僕が何か言う前に彼もまた会釈をして階段の方へ歩いていった。
1人残された僕はドアの取っ手を握った
しかし開けることが出来ないのだ。
なんて言えばいい、何を言えばいい…
どうしてこんなにも情けないんだ
なんとかして取っ手を握る手に力を入れ、少しの隙間ができるくらいドアが開いた時中から声が聞こえた
『……降谷、いるんでしょ?』
「……………」
『入ってきてよ、お願い』
君下の心配そうな声が聞こえた。
なぜ彼女に心配をかけさせているんだ…逆じゃないか
重たいドアを開けると上体を起こした包帯だらけの君下が目に入る。何度見ても痛々しいその姿を直視することができなかった
『なに情けない顔してんの、降谷』
481人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちのせ(プロフ) - ゆうかさん» 読んでいただきありがとうございます!お話まとまったら書こうかな〜と思います! (2月26日 23時) (レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです!新しい作品も楽しみにしてます! (2月26日 19時) (レス) @page49 id: d38f1b774d (このIDを非表示/違反報告)
いちのせ(プロフ) - リュウさん» コメントありがとうございます!更新ゆっくりですみません>< 気長に待っていてください、、、! (2月1日 20時) (レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - めちゃくちゃ続きが気になります!!お仕事頑張ってください! (1月31日 3時) (レス) id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
yuka.125(プロフ) - 忙しいなかコメントありがとうございます!これからも応援してます! (1月13日 8時) (レス) id: 6cd4b73c69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2023年11月22日 21時