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『うん。いざと言う時に降谷に名前で呼んでほしいなって…すぐに気がつけるように』
いざと言う時っていつだよ、なんて聞くだけ野暮だろう
何も言わずに君下を見つめているとまたいつもの様に口角を上げた。この顔をする時はなにか企んでいるときだ
今度こそ何をされても驚かないと決心し、身構えようとするが時すでに遅し
君下が口を開いた
『なんてね。いつでも呼んでいいんだよ?
___れいくん』
「なっ…………」
突然のことに言葉も出ない僕と隣でなぜか嬉しそうに「おぉ」と小さく零したヒロ
すると数秒後、君下は両手で顔を覆って俯いた
『ごめん今のナシ。降谷は何も聞いてない……』
やっぱり恥ずかしい、と籠った声で言った
髪の毛と指の隙間から見える顔が少し赤くて、まさかあの君下が照れているのか?と驚きを隠せないままヒロのほうを見ると彼もまた驚いた表情をしていた
『でもさ、ほんとにいざと言う時…例えば私がどっかにいっちゃいそうなときには名前で呼んでよ。そしたら私ビックリして戻ってくると思うからさ』
君下はパッと顔を上げて笑いながらそう言った
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もし今がその時なら
僕の声で君下が死の淵から戻ってきてくれるのなら
「………A」
どうか、
「Aっ……」
どうか、返事を……
「A…!!!」
今までにないくらい必死に彼女の名前を呼んだ。辺りはシンと静まり返り、僕の期待していた答えは返ってこないのだと頬に触れている手を離そうとしたその時、彼女の唇が少し動いた
『……………れ、い……』
1音ずつハッキリと発せられたその声は君下のもので、1文字ずつ紡がれたその言葉は
僕の名前だった
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いちのせ(プロフ) - ゆうかさん» 読んでいただきありがとうございます!お話まとまったら書こうかな〜と思います! (2月26日 23時) (レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです!新しい作品も楽しみにしてます! (2月26日 19時) (レス) @page49 id: d38f1b774d (このIDを非表示/違反報告)
いちのせ(プロフ) - リュウさん» コメントありがとうございます!更新ゆっくりですみません>< 気長に待っていてください、、、! (2月1日 20時) (レス) id: 238460b4ff (このIDを非表示/違反報告)
リュウ - めちゃくちゃ続きが気になります!!お仕事頑張ってください! (1月31日 3時) (レス) id: 6792b0e39f (このIDを非表示/違反報告)
yuka.125(プロフ) - 忙しいなかコメントありがとうございます!これからも応援してます! (1月13日 8時) (レス) id: 6cd4b73c69 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年11月22日 21時