愛のカタチ (ページ6)

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いつも以上に重い足取りで登校した今日、勝負の日。

どうしてこういう日って、一日が進むのが早いんだろう。

いつもの授業は、何回時計を見ても時間が変わらないのに。

あっという間に迎えた放課後。

『ケリついたら、焼肉奢ってやるよ』

私のやる気を食べ物で誘う樹は、今日は部活があるらしい。

その一言を残し、拳を向けてくる樹に、自分の拳を重ねると、樹は満足そうに教室を出て行った。

樹のおかげで少し軽くなった足取りで、玄関へ向かう。

一人になった四組の教室をようやく出た私は、三組の教室の前を通り過ぎ、二組の教室も同様に通り過ぎようとしていた。

すると、ガラリと開いたドア。

いつかのデジャヴを感じながらも、今回は衝突事故は免れた様子。

『わ、びっくりした』

驚きながらも"ごめんね"と言う人物は、前回同様、ジェシーだった。

『あれ、またAだ』

子どもみたいに笑いながらそう言う彼も、デジャヴを感じていたらしい。

部活着に着替えられた服装は、彼の為に作られたのではと思うぐらい似合っていた。

「私こそごめんね。

部活、頑張ってね！」

簡単な謝罪と社交辞令のような台詞を言い放ったところで、その場を去ろうとすると

『ジェシー、何やってんの？』

タイミングが良いのか悪いのか、先程いい感じの別れをした樹が、部活着に着替えて、教室から顔を出した。

『まだいたのかよ』

とでも言いたそうな表情の樹。

私にこれから起こる事情を知らずに、二人の雰囲気を察知したジェシーは、頭にはてなマークが浮かんでいるようだった。

すると、その様子を更に察知した樹は、

『こいつ、これから勝負に行くんだよ』

と余計な報告をした。

まだ疑問が残る様子のジェシーを見なかったことにした私は、樹に睨みを効かせ、歩き進めた。

『A、がんばれよ～！』

何のことか分かっていないはずのジェシーが、とりあえず放った応援の台詞で、少し心が軽くなったことは樹もジェシーも知る由はない。