愛のカタチ (ページ16)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:16,272 hit

16 ページ16

『記念に二人で写真でも撮れば？』

教室に戻ってきても尚ニヤケ顔の樹が口を開いたかと思いきや、またこの話題。

私とジェシーのこと、そんなにくっつけたい訳？

いや、でもここで怒る方が樹の思うツボ？

せっかく授業のない日なのに、無駄に頭を使わせるこの男。

『え、乗り気なの？』

かっこいい先輩を見るためにだとか、あそこの試合が面白くなりそうだとかって、教室には私たち二人と大人しめのクラスメイトしかいない。

そのため、私たちが口を閉じると訪れる沈黙。

それに耐えられなくなったのか、なかなか反抗してこないのがつまらないのか、自分から提案しておいて疑問を重ねてくる樹。

「私と写真撮っても何の記念にもならないし」

結局反抗心を含んだ台詞を投げつけると、

『お前、ほんと悲観的』

ため息をつきながら呆れた様子の樹。

あまりにも呆れたのか、樹は突然立ち上がった。

かと思いきや、

『とりあえず行くぞ』

そう言いながら私の手を引き、ジェシーのいる体育館へと向かった。

『お、いた』

バスケが行われている体育館へ向かうと、樹の予想は的中。

ジェシーは体育館の隅で、クラスメイトの男子とバスケの試合を見ていた。

"ほら、行けよ"と言わんばかりの顔をしながら私の背中を両手で押す樹に、

『いつ私がジェシーのこと好きって言った？』

と尋ねると、何故か疑問顔の樹。

どちらかと言うと私がその顔したいんだけど。

今にも頭からはてなマークが浮かび上がりそうなほどまん丸な樹の目は逸らされることはなく、二人の間に訪れたほんの数秒の沈黙。

『いいから行けよ！』

沈黙を破った目の前の人物が、今度は少し大きめな声を発したおかげで、注目を浴びた気がした。