【恐怖症シリーズ】虫恐怖症〜緑川駿〜【ワートリ】 (ページ12)

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恐怖症9 ページ12

「城戸さん、忍田さんありがとうございました」

腰の抜けた勇斗一家の目の前で二人にお礼を言う。

そしてくるりと向きを変え、視線を勇斗一家の方へと向ける。

「貴方達の嫉妬は見苦しいので、今後はお控えくださいね、早瀬さん？これ以上、なにかするようなら出るところ出るだけの蓄えはあるので。父と母まで侮辱していること、父と母が何故死んだのかその理由も知ってるし貴方達が父と母を死に追いやった証拠もあります。この意味、分かりますね？」

私の言葉に口をパクパクとさせるだけの父親たちを見て勇斗が「わけわかんねーこと言ってんじゃねーぞ！泣き虫の親なし子！」と喚く。

「さっき城戸さんに怒鳴られて涙目のあんたに言われたくないわ」

そう言うとぐっと詰まる勇斗に私は笑った。

「ま、あんた達に何されようと私は屈しないし、この街に貢献していく。たとえネイバーがあんたたちを追いかけていた時は守ってあげるよ？だって私ボーダーだもん」

「帰ろう、城戸さん、忍田さん」と二人の手を引き立ち上がらせる。

「じゃあね、勇斗」

そう小さく聞こえないように呟いて校長室から出る。

「忍田さん、私しばらくは本部で勉強してもいいかな？」

「あぁ、いいぞ」

「ありがとうございます」

そして数日後、勇斗一家は他県へと引っ越していった。

なんでも今回のことが父親の会社に知れ渡ったらしく周りの反感を買ったらしい。

その後は私はクラスメイトにも謝られ、元より良い生活が出来ている。