分隊長のストッパー【スリー】 (ページ41)

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憲兵は混乱しているらしく、何が起きたのか分かっていない状況で、僕の質問には答えなかった

ハン「A…？」

「ﾁｯ、クソっ！！」

憲兵が蹴りを入れてこようとするが、こちらも足で対応し、憲兵の体をうつ伏せにして左腕を綺麗に折った

騒がれては困るので、騒ぎ出す前に気絶させる

そうすれば、コイツはピクリとも動かなくなった。それを確認すれば、僕の中で暴れていた何かは静まった

ハン「A、まさか、記憶が」

ハンジさんが声を震わせて僕の肩に手を置いた。それを申し訳ない気持ちで手を併せ、質問に答えた

『いえ…貴方が殴られそうになった時に、僕の中でなにかが暴れ回って、それに身を任せていたんです…今はもう、何も感じない…』

自分の手を見つめて考える。アレは何だったのかと。アレは、アレはもしかしたら、記憶を失う前の僕…？

ハン「そう……。でも、戻りそうではあるのか。良かった…。本当に良かったよ」

つい考え事をしていると、ハンジさんに声を掛けられ、はっとし我に返った

『すみません…』

記憶が戻らなくて迷惑がかかっているのは分かっているので、謝ると、ハンジさんは笑いながら全然気にしなくてもいいよと言った

ハン「そんなことより、助けてくれてありがとね。助かったよ。コイツ、Aの事を悪くいって、俺と付き合えって煩くてさぁー！本当にイライラしたよ…あと少しAが来るの遅かったら、私がぶん殴ってたね」

『僕のことで怒ってくれたんですか？嬉しいです』

なんとも嬉しいことだ。僕はハンジさんの事をそんけいしている。そしてハンジさんは僕のことをバカにされて怒ってくれた。こんなに嬉しいことは無い

上機嫌でそう言うと、ハンジさんは

ハン「そりゃあ君は私の大切な……」

『？ハンジさんの大切な？』

不自然な所で途切れたのでハンジさんの方を見ると、こちらに気づいたハンジさんが僕の目を隠した

ハン「この答えは君の記憶が戻ったら分かるよ！」

『え、ぁ、は、はいっ』

バシンっと背中を叩かれながらそう言われた

『この憲兵はどうします？』

伸びている憲兵を指さしていうと、ハンジさんは苦笑いしながらほかっといてもいいといった。対策はとるから次来たらタダじゃおかない、との事だ

ハンジさんの判断を信じ、伸びている状態のまま放置して執務室に戻り、胸ポケットに閉まっていた書類のサインをもらった。

モブリットからこめかみの傷が見つかり、治療されながら事情聴取という名の尋問を受けた