分隊長のストッパー【スリー】 (ページ31)

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巨人化したアルミンが超大型巨人であるベルトルトを食べて人間に戻り、アルミンを壁の上まで引き上げた際、まだ分隊長はここにいなければならない雰囲気が漂っていたので先にAに行くことを伝え、少ないガスを節約しながら、あの井戸の元へと戻った

戻ったが、Aはいなかった。だが、分隊長がAに掛けたジャケットはあった。

そこで少し疑問に思った。Aなら絶対に分隊長のジャケットを雑に扱わない。自分にかけてあったら畳んで持っていたり、その場に丁寧に置いておくはずなのに…

疑問に思いながらも、Aを見つけなければ進まないと、周辺を探す事にした。Aのあの右手と体の傷で、今は立体機動はつかえないだろうから、すぐ近くにいるはずだ

立体機動で探したら、ものの数分で見つけた。倒れ込んでいるAを

モブ「Aっ！！大丈夫か！」

『っ、う、ぁあ…モブ、リット…？』

小刻みに震えている体、か細い声…。いつものAだったらまず平気なフリをするから…今回の怪我はデカいんだろう

こんなになるくらいだったら、移動しないでほしかったが…まぁ小言は後でいいか

モブ「俺だよA。どこか痛いところはないか？」

『だい、じょうぶ…夢…夢だ…。早く、覚めろ…』

モブ「夢？」

Aはうわ言のように呟いた。俺と目が合ったのだが、俺じゃないなにかを見ているようで俺を見ていなかった

モブ「これは夢じゃない！しっかりしろ！」

意識が混濁しているのか、貧血なのか…他の問題があるのか俺には分からない。だから、少しは薬がある壁の上へAを運ぼう。まだガスはある。壁までは辿りけるだろう

持ってきたロープで俺とAの体を固定しようと動こうとすると、とんでもないことをAはいう

『アース…と、ルストはどこに…』

モブ「？A、なぜ、いま？」

『え…だって……同じ班だから…モブリットの、近くにいるかもって……』

Aの口から出たのは、初陣で散っていった、かつての仲間の名前だった

どんどん不安が募る

モブ「Aっ、エレンや、超大型巨人の事、分かるか？」

『…なんだ、それ』

サァッと血の気が引いた。Aはこんな時に冗談を言わない。記憶が飛んでいる？それとも混乱していてるだけなのか？
どうしようかと迷っていると、ガスの噴射音が微かに聞こえた。ああやばい。恐らく分隊長だ

モブ「A！第四分隊長の名前、分かるか！？」

『え…、と…なんだったっけ……』

モブ「そん、な……」

ああ、最悪だ。Aは分隊長の事を一瞬足りとも忘れるような奴じゃない

ハン「Aっ！！大丈夫か！！」