見えちゃう系女子の日常

形見だもの ページ23

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「これ周りから見たら完全に誘拐ですよ。」

「え、まじで？」

「まじです。だから下ろしてください。」

「まあ警戒区域内は人いないから関係ないけどね。」

「」


ブラックトリガー争奪戦が無事終わり、本部に行くと言う迅さんに先に帰ることを伝えると

「俺一人じゃ怖くていけないよ〜」

とこちらが怖くなるようなことを言い出し、引いている私を肩に担ぎ本部に向かって歩き出したのだ。


何も話さないまま静かに廃墟の中を進んでいく。
顔は見えないけどなんだか歩く感じがいつもより弱々しい気がした。


「風刃を本部に引き渡すんですか」

「城戸さんとちょっと話しに行くだけだよ。」

「嘘ですね。見なくったってわかりますよ。」

迅さんから降りて目を合わせる。
しばらくすると迅さんが俺の負けとでも言うように口を開いた。

「敵わないなあ......。
そうだよ、風刃と引替えに遊真のボーダー入隊の許可を貰う。
.......最上さんに怒られちゃうかな。」

迅さんはが苦しそうに笑うので私はとっさに手を取り握りしめた。

「大丈夫ですよ。私はお会いしたことありませんけど、迅さんの記憶の中の最上さんは形見を手放したくらいで怒ったりする人じゃありませんでした。」

「そう、だよね...。ありがとうAちゃん。」

「はい。じゃあ行きましょうか！」




いつだって欲しい言葉をくれる




「なんで手繋いでるんですか」

「Aちゃんが先に繋いだんだよ。
あれ、もしかして照れてるの？」

「照れてません。早く行きますよ。」

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