28ー思い出ー ページ30
高木「出てきてみてどう？」
伊野尾「え…」
高木「何か変わった？」
伊野尾「意外と風強いなー…とか、潮の匂い凄いなーとか…」
高木「良いよね。好きなんだ、海。」
「朝、昼、夜。…波が落ち着いてる時、荒い時。いつも違う顔してる。」
「見に来れてよかった。ありがとう伊野尾くん」なんて笑顔を見せてる
伊野尾「…感謝するのは俺の方だよ。俺一人だったら、きっと旅館の窓の向こうから、なんにも知らないまま眺めてただけだったから」
「みんなも連れて来れば良かったね」なんていうと「…実は」と高木が振り返る。
高木「伊野尾くんと2人きりになりたかったからなんて言ったら…変かな…？」
伊野尾「え…」
高木「水族館で2人を見た時、いいなって。」
高木から言われると思ってなくて…少しドキッとする
高木の顔は暗くてよく見えなかった。
高木「それに修学旅行でみんなとの思い出も作れたけど…伊野尾くんと2人だけの思い出もつくりたかったんだ笑」
伊野尾「俺との思い出…？」
高木「とは言っても伊野尾くんにとっては悪い思い出になっちゃったね笑」
「旅館抜け出して来ちゃったから笑」なんて言うけど悪くない。
伊野尾「悪くないよ」
高木「え？」
伊野尾「俺も、楽しかったし…」
高木「伊野尾くん…それなら良かった笑」
「そろそろ戻ろうか笑」
ーーーーーーーー
「…綺麗だな…」
本当はあの時、隣に居たはずのキミが居なくて心配で目が覚めた。
キミは窓の外の景色に釘付けになってた
その景色を直接見せてあげたくて、無理やり外に連れ出した。
悪いことしたなって後々反省してたら、「俺も、楽しかったし…」なんて
やめてよ伊野尾くん
期待しちゃうでしょ…？笑
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作成日時：2023年7月11日 11時
