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あぁ・・・どうしよう。
インターホンを押す手が止まってしまう。
“ 中島が帰ってきてるんだって ”
風磨が言った瞬間、私は走り出していた。
突然家に来て迷惑じゃないかな。
なんで来たの?なんて言われたらどうしよう。
・・・・・・大丈夫、だよね。
幼い頃は毎日のように来てたもんね。
健人「A?」
インターホンを押す直前、後ろから声が聞こえた。
大好きな、あの声が。
「健人!」
私が勢いよく振り向くと、そこには笑顔の健人がいた。
健人「久しぶり」
「背、また高くなったね」
健人「うん。この2年でまた伸びた」
そう言いながら、玄関を開けてくれる健人は、2年前とほとんど変わっていなかった。
「ねえ健人。東京どうなの?怖い人、いっぱいいない?」
健人「怖い人って」
健人は笑いながら、ソファに座る私の前の机にお茶を置いてくれた。
健人「Aが思うほど、東京って怖いところじゃないよ」
私にとっては怖いんだよ。
健人が遠くなっていくようで。
健人「怖い人もそりゃいるけど、優しい人だってたくさんいるし」
「ほんと?いじめられてない?」
健人「大丈夫。俺フレンドリーだからさ」
健人がスマホの写真を見せてくれる。
そこにはたくさんのクラスメイトと笑っている健人がいた。
私の知らない健人が。
「そっか。よかった。あ、いつまでここにいるの?」
健人「明日帰るよ。学校あるし」
「そっか・・・」
健人が私の頭を撫でた。
あぁもう。そういうことするから期待しちゃうんだよ。
健人「何?寂しいの?」
「寂しくなんかないよ」
嘘。ほんとは凄く寂しい。
ずっとここに、いてほしい。
「また、帰ってくるでしょ?」
健人「・・・・・・もう帰ってこないかもしれない」
「え?なんで?」
健人「ここにいると、辛いから」
健人は今日1番の悲しそうな顔で言った。
「健人・・・・・・何かあった?」
健人「・・・・・・なんてね。冗談。また帰ってくるから」
私は納得いかないまま、今日は帰ることになった。
「また明日、来てもいい?」
健人「んん、忙しいからなあ」
「あ、そうだよね。ごめんね」
健人「ううん。夕方なら大丈夫。夜に出るから」
「わかった!」
私は家に着いた途端、風磨に電話をかけた。
「ねぇ、健人、絶対何かあった」
風磨『・・・明日、会える?話したいことあるから』
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作者名:ゆあら | 作成日時:2018年11月6日 21時