29. ページ29
朝、コンコンと扉をノックされて目を覚ました。
「Aちゃん、おはよ」という鬱さんの声に反応して、ベッドから飛び起きて扉を開けた。
「お、おはようございます」
寝起きだとバレただろうか。
鬱さんが私の髪にふれ、「寝癖ついとるよ」と笑った。
「今日、学校どうする？一緒に行くなら、送っていくし」
「行きたいです。テスト前で欠席するのは不安ですから」
「そう、分かった。じゃあ、朝食の準備が出来たらまた呼びに来るわ」
「ありがとうございます」
部屋に戻って、学校へ向かう準備を進める。
鬱さんは、朝でも優雅だなぁと思いながら、髪を整えていたところ、パンと何かの破裂音が響く。不思議に思って廊下を覗くと、鬱さんが遠くから走ってくる。え、なに…？
「助けてえええええ！！！」
そのまま縋りついてくる鬱さん。
撤回します、鬱さんは優雅なんかじゃない。
先程は打って変わっての様子の鬱さんに事情を聞く前に「とにかく来て」と手を引かれて何処かへ連れていかれる。
着いた場所はキッチン。
出入口に大勢の調理師の皆様が、キッチンの中の様子をビクビクしながら眺めている。
ボン、と爆発音が聞こえて、黒い煙がもくもくと出現する。
そして、焦げ臭いにおいと、シャオロンとコネシマさんが言い争う声が聞こえる。
真っ青な顔の鬱さんに「何事なんですか…」と訊ねるが、首を横に振るだけで返事は無い。
「あ、A！おはよう」
「おはよう。この惨状はいったい…」
「コネシマと俺で料理の勝負してん。朝ごはん、もうすぐできるから待っててな」
シャオロンがとっても素敵な笑顔で、グッとサインを送ってくる。
あの…手元見て、という前に、フライパンが破裂する。
一方で、コネシマさんのところでは卵やら、調味料やらがそこら中に散らばっている。
「ほんと、勘弁してやあ…」
「ご愁傷様です」
「Aちゃん。出来上がった料理は君の朝ごはんになるんやで」
「…死にますよ」
「やったら、止めてや」
「…2人があんなに生き生きに料理しているのを見たら止める気力なんて出ません」
「終わった」
シャオロン…ハンバーグは上手に作れたのに。
彼にとって料理は根本的に苦手なのか、苦戦しつつも一生懸命頑張ってくれている様子に感謝もありつつ、不安もある。
そして、コネシマさんは何故シャオロンに対抗するように料理しているんだろうか。
とりあえず、2人の様子を傍から鬱さんと一緒に見守った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1078人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しめじ - めっちゃ好きです〜😭❤️これからも無理のない程度に更新頑張ってください！応援してます！ (11月28日 18時) (
レス) id: 34533725fa (このIDを非表示/違反報告)
匿名のヤツ - コメント失礼します。shaちゃん可愛すぎ、、額が足りひん。を間に受けるknが面白すぎる、、。 (11月4日 18時) (レス) @page13 id: 4d5241d02c (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - あんま可愛過ぎるやろ…不憫shoちゃん好き過ぎてほんと…よかったね、夢主ちゃんにいっぱい愛されるんだよ… (11月1日 15時) (レス) @page8 id: 9e64766d9e (このIDを非表示/違反報告)
りう - あ、、、すきっ (10月31日 23時) (レス) id: 8380e3b7c5 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新頑張って下さい！ (10月29日 21時) (レス) id: a23b083970 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
