26. ページ26
約束の時間に、コネシマは再び教室に現れた。そこにAの姿は無く、何度か辺りを見渡す。「おらんやん」と隣でコネシマを揶揄いに来たゾムが呟いた。
「Aさんなら、お帰りになられましたわ」
「は？」
「朝からコネシマさんのお誘いを受けたことに対して、Aさんが恐縮だと震え、怯えていましたから」
聞いてもないのに、女子生徒が彼らに声をかけてきた。
ゾムは心底どうでも良かったが、コネシマは一歩、その女子生徒に歩み寄った。
そして、女を上から見下ろす。女子生徒は、コネシマから近づいてきてもらえたことに至福を感じたが、ゆっくりと顔を上げてコネシマと視線が合う也すぐに顔を真っ青に染めた。
目の前の人間の様子を気にすることなく、女の首をぐっと絞めつけた。
はく、と女の息が止まる。そのままか弱い抵抗を示す彼女に対して、男は無表情だった。
「お前、二度と俺の前でしゃべんな。次、口を利いたら縫い付けたる」
ドサ、と女が崩れ落ちる。
そのまま立ち去る2人。ゾムはひゅう、と口笛を吹きながら「心無いわあ」と笑う。
あからさまに女は嘘を吐いていたが、Aが教室にいないことは事実。
次会ったら覚えてろ、と確かな怒りを覚えるコネシマに、飛び込んできたビックニュース。
その発信源は、教室へ戻ってきたゾムとコネシマに声をかけた鬱だった。
「あ、シッマ。Aちゃん無事やったん？」
＿＿
＿
「＿い、おい！しっかりせえ」
ばちん、と強く頬を叩かれた衝撃で目を覚ました。
「いたい…」と小さく呟くと私を抱えているコネシマさんが、少し安心したように息を吐いた。あれ、ここどこ？
「あ、起きた？もうすぐ着くと思うから安心してな。多分そんな深い傷ちゃうけど、一応見てもらった方がええやろうし」
にこ、と笑う鬱さん。え、なんの話？
何処かへ車で運ばれている。
あ、そっか。閉じ込められて、転んで、怪我したんだっけ。
頭からの出血を確認しようと頭部へ手を持っていくと、それをやんわり鬱さんに止められた。頭部はコネシマさんがガーゼで押さえつけてくれているらしい。
「あの…ありがとうございます。でも、大丈夫ですから」
「どこがやねん」
「それにわたし、病院を受診するお金なんて…」
そう言うと、鬱が「安心して。俺の家系はそっちよりやから」と私の頭を撫でる。「だから、Aちゃんは安心して眠っとき」と言われて、気が付けばすぐに意識は再び落ちていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1075人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しめじ - めっちゃ好きです〜😭❤️これからも無理のない程度に更新頑張ってください！応援してます！ (11月28日 18時) (
レス) id: 34533725fa (このIDを非表示/違反報告)
匿名のヤツ - コメント失礼します。shaちゃん可愛すぎ、、額が足りひん。を間に受けるknが面白すぎる、、。 (11月4日 18時) (レス) @page13 id: 4d5241d02c (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - あんま可愛過ぎるやろ…不憫shoちゃん好き過ぎてほんと…よかったね、夢主ちゃんにいっぱい愛されるんだよ… (11月1日 15時) (レス) @page8 id: 9e64766d9e (このIDを非表示/違反報告)
りう - あ、、、すきっ (10月31日 23時) (レス) id: 8380e3b7c5 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新頑張って下さい！ (10月29日 21時) (レス) id: a23b083970 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
