＊23＊ ページ24
＿
ぱしゃぱしゃぱしゃしゃしゃしゃしゃ
「怖い怖い」
「近くにいるのかなり恥ずかしいから離れるね」
「今の心境を一言で」
「球技大会さいこうかよぉ…」
「はい。ありがとうございました」
結局スマホで、先輩の姿を連写する。
許可はもらった。鬱先輩経由で、ごり押したけど。
私がコネシマ先輩を連写している姿をみた先生が、「じゃあ、ついでに学校用として卒アルや学年の新聞に載せるための写真もよろしく」とお願いされたため、合法的に先輩をとることができる。はい、勝ち。
「A、って、なにやってるん…？」
「あ。鬱先輩とシャオロン先輩」
「おぉ〜めっちゃ熱心に撮っとるやん」
「卒アル用でも写真いくつか頼まれたんで」
「シッマだらけになりそうやな」
そしたら、鬱先輩から卒アル奪い取って家宝にしよう。そうしよう。
苦笑いをしているシャオロン先輩が「そろそろ第一試合やから作戦会議するで」と話を切り出す。
「やです」
「あかん。初戦こそ、最大の脅威が相手やからな」
「らすぼす？」
「おん。規格外」
「私、戦力外通告してもろて」
運動が苦手な私。
加えて、ドッチボールの練習もこれといった本格的な練習は行ってない。
外野でボール遊びでもしとく気持ち満々だったのだが…。
「Aは唯一の女子なんやから。彼奴はきっと油断するはずや！」
…過度な期待やめてぇ。
「てか、もう対戦表貼り出されてるんや。で、ゾムさんが初戦で当たると」
「よし。練習いくぞ！」
「いーやー！！先輩補充しなきゃ、むりー！！」
ズルズルと首根っこを捕まれ連れていかれる。
「はあ。やっとどっか行ってくれた」
「コネシマ先輩も中々イライラしてたね。マジ笑う」
「恥ずかしかったわぁ」
「聞こえてっからー！！」
友人の悲痛な想いは、完全に私の耳へ届いていた。
泣くぞ。
＿＿
＿
「偵察とか意味ないですって」
「あ。ほら、あれがゾム」
「いちばんの脅威や」とシャオロン先輩が説明すると同時に、ゾム、と呼ばれた男がボールを持ってものすごい勢いで投げる。否、放つ。
「…あんなん、衝突したら死にますけど」
「大丈夫。あれは俺が取るから」
「死にますて」
不安そうな私。
そして真剣な様子で着々と偵察を進めるシャオロン先輩。
正直、私と同じ立場に置かれた鬱先輩も不安がっていると思っていたが、
「任せて☆」
何処からその自信があるのか分からないが、決め顔で傍に立っていた。
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