6 ページ6
…
お昼0時。
四限目の授業が終わり、直ぐに”邪魔するでぇ”と元気よく隣のクラスから遥々やってきたシャオロン。同じクラスの女子生徒は目を輝かせ、隣では鳥井の顰めっ面が目に入った。
「なんやシャオロン」
「飯食いに来た」
「手ぶらやんけ。食堂まで着いて行かんからな！Aの飯食うんやから邪魔すんな」
ほんまにどんだけお前の飯上手いねん…と私をジトッと見つめるシャオロンを無視し、カバンから三つお弁当を取り出す。ちなみにシャオロンの分だけはプラスチック容器に入れてきた。弁当箱三つも所持していないもんで。
「おぉ！確かにうまそ」
「なんでシャオロンにも作って来とるん」
「諸事情。ほら、早く食べよう？」
いただきます、と手を合わせ、箸を進める。
ひとくち、シャオロンは煮物を口に入れれば、
「手、込み過ぎじゃね」
感想、それかい。
「なんや…文句言うなら俺が貰う」
「ちょ、ゾム！不味いとか文句言うてへんやん！返せって！」
わいわい騒ぐ二人。
相変わらず不機嫌な鳥井は、黙々と食事をする。けど食べ始めたら、美味しそうに、且嬉しそうに食べてくれるから単純な子だなぁと思ってしまう。
一応不良だし、気にくわないことがあって殴られそうになったら、手作り唐揚げでも口に放りなげてみようか。常備しとこ、飯。
「駅前のレストランの方がうまかった」
「うん、そこ三ツ星だし。というか、素直すぎますね。そんな率直な感想、本人の前で言える度胸に感心します」
「意外と嫌味な奴よな、Aって」
「シャオロン様に言われたくない、」
ガタン、と急に立ち上がる鳥井。
「俺は、Aの料理が好きやねん。シャオロンの分なんかつくらんでええ。
俺だけに作って来てや」
それだけ言って、プイとそっぽを向いた彼。やっぱり何処か幼いよな。
シャオロンは”なんや嫉妬かぁ〜”とニヤニヤ笑みを浮かべながら鳥井を揶揄っていた。
＿＿
＿
「まだ不貞腐れてんの？」
どうして機嫌が悪いのか、理由が分からない私は放課後、家に帰る前に訊ねた。
鳥井は少しだけ間を置いてから、ゆっくり口を開く。
「シャオロンの方が弁当のおかず、量多かった」
「子どもか」
「彼奴の分作るぐらいなら、俺の多くしてや！！ええな！！」
じゃ、と筆箱ぐらいしか入っていないのだろう軽そうな通学カバンをもって、彼は玄関の方へ歩いて行った。
…あれ、彼、もう手遅れでは？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 711人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わとまる - この賞セス (5月19日 22時) (
レス) @page21 id: 91c3072f2a (このIDを非表示/違反報告)
人形傀儡(プロフ) - 心に刺さりました。めっちゃ好みです。 (2022年6月25日 18時) (レス) @page9 id: ebc8796329 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威推し - りぃさん» ご飯だけじゃなくて夢主ちゃんにも依存してくれると嬉しi(((( (2022年6月21日 16時) (レス) @page5 id: e5ffed06b8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 好きな作品だ…こういう性格？のzさん好きなんです…ご飯に依存しかけてますがこれからどうなるか楽しみです…！！ (2022年6月21日 3時) (レス) @page5 id: ed9e6e4b74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
