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「ボール行ったで」


犬歯を露わにしからから笑いながら、私にボールを渡すシャオロン様。
よりにもよって種目がサッカーなんだよ!ボールは変なところに飛んでいくわ、懸命にければ誰かの脛にあたるわ、日差しは強いわで。
運動が得意な様子のシャオロンは、Aの運動音痴すぎる慌ただしい行動に腹を抱え、執拗に彼女にパスをする。なんでシャオロンと同じチームなんだろうか。


「A、おっそ」


語尾に(笑)と書いてある言葉を放った敵チームの鳥井は難なく私の足元にあったはずのボールを横取りし、そのままゴールへと走っていく。

取り返そうとしても、足の遅い自分では追いつくはずもなく。


「出たなラスボス」
「はっ。シャオロンに止められるわけないやん」


そしてバチバチ火花を飛ばす二人。
身体能力が異次元過ぎて周りはもはや観客。女子の甲高い声援は当たり前の如く、中央のシャオロンと鳥井に注がれている。シャオロン様は満更でもなさげで、ふふんと鼻をならした。


「熱い」


試合時間は残り30秒。二人がこの試合を括ってくれるだろう、と思い、日陰へ移動しようと振り返った瞬間、


「危ないっ!!!」


男子生徒の声が聞こえ、


「ぶっ、が!!」


女子とは思えない声が出た。隣のコートから飛んできたサッカーボールは、見事に私の顔面に直撃し、そのままぽとっ、と重力にしたがって落ちた。

「どんな力で蹴ってんだ、馬鹿!」と咎める声、「ごめんなさぁい」と腑抜けた声。
すぐに数人が私に近寄ってきたが、私の顔を見て真っ青になった。





「Aに何すんねん」


否、私の後ろにいるだろう人物を見て涙目で真っ青になった。


「鳥井、平気だから」
「って、血、血出とるて!」


シャオロンの焦ったような一言でたらり、と人中を伝う血液にやっと気が付く。
「あ、」とゴシゴシ鼻血を拭うも止まらない。


「殺す」
「だぁー、やめろゾム!!」
「保健室行ってくる」
「「す、すみませんでしたぁ!!!」」
「大丈夫ですから」


土下座やめて。




__

_







「A、出血多量で死なんよな」
「鼻血だっつてんだろ」
「嫌や、まだ俺のために飯作ってや!」
「ねえ、声届いてる?」


保健室の先生は苦笑いを溢し、シャオロンは呆れた様子で鳥井を教室へ連れて帰る。


「鳥井、次の授業だけ休むから板書取ってくれるとありがたい」
「嫌や、俺もここおる!」


様子がおかしいぞ、此奴。

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わとまる - この賞セス (5月19日 22時) (レス) @page21 id: 91c3072f2a (このIDを非表示/違反報告)
人形傀儡(プロフ) - 心に刺さりました。めっちゃ好みです。 (2022年6月25日 18時) (レス) @page9 id: ebc8796329 (このIDを非表示/違反報告)
える@脅威推し - りぃさん» ご飯だけじゃなくて夢主ちゃんにも依存してくれると嬉しi(((( (2022年6月21日 16時) (レス) @page5 id: e5ffed06b8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 好きな作品だ…こういう性格?のzさん好きなんです…ご飯に依存しかけてますがこれからどうなるか楽しみです…!! (2022年6月21日 3時) (レス) @page5 id: ed9e6e4b74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とぅ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年6月20日 0時

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