愛しい影。5

おうち ページ3

伊沢side








あ「ただいま〜」






伊「おかえり、今から時間ある？」





彼女が帰って来たのは夕方5時ごろ
俺が夕食のための店を予約していた時間は7時だからまだ間に合うだろう
不思議そうにしている彼女をとりあえず急かして準備させる





そして俺も心の準備をする
拒否されてもいい、保留にされてもいい、この気持ちを彼女に伝えたい




きみに出会うまでの24年間、俺は結婚なんて必要ない、したくもないと思ってた
そんな気持ちがきみのまっすぐな想いでいとも簡単に180度変わった



6年間、これでもかと言うほど俺が愛し、これでもかと言うほど愛してくれた君に
いつも、誰よりもそばでこんな俺を支え続けてくれた君に
伝えたい



どの言葉を選んだら君に伝わるだろうかと考えたけれど
決めたってシナリオ通りにいくわけないから言葉は決めなかった




あ「もうできたよ、待たせてごめんなさい
なんか拓司さんもかっちりした格好だね」





伊「まあ卒業式みにいくときくらいスーツ着るよ」





あ「え、きたの！？ねえ何にも聞いてないよ！」





伊「だって言ったら来んなって言ったじゃん！だからそれ以上言わなかったの！」





あ「も〜、、、メディアでは従順で優等生なのに、、、」




もっと可愛くしてけばよかったじゃんって頰を膨らます彼女が愛おしい




そんなことを考えている俺も実は人生で1番じゃないかって言うほど緊張していて、今は物事を冷静に考えられない



だけど彼女を見ていると安心する
ただただ愛おしい




もしうまくいかなかったら、この日常が壊れてしまうんじゃないかと考えて怖くなる
だけど君はそんな恐怖を幾度となく打ち破って俺と向き合ってくれた




もしかしたら君の理想の彼氏じゃなかったかもしれないけど。
君以上に素敵な女性を俺はこの人生で1度も見たことがないんだよ。





伊「じゃあ、行こうか」




深呼吸をして扉を開けた






いよいよだ。

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