繋げて ページ13
30分前か1時間前、神木健太は、水瀬拓真と二人、雨音を聴きながら廊下に座り込んでいた。
水瀬拓真いわく、立つのが疲れたから、とそのまま膝を折ってしまった。ピロティのベンチに行く?と言ったら、「やーだ。歩くじゃん」と動くようすもない。
俺も仕方なくそこに座って、二人は壁にもたれて目の前に映る雨の滴を見た。さっき言われた、「神木くんは大島くんに遠慮してる」の言葉の意味もう一度考える。
「水瀬くん」
「ん〜?」
「俺さ、水瀬くんの言う通りだと思う。」
水瀬拓真は無言で俺を見た。俺は膝を立てて両腕をかける。どう言葉を繋げていけばいいのかわからないが、思っていることを徒然と言っていく。
「俺、尚信に遠慮して、自分のやりたいこととか出来てないかも」
バイトも始めようと思った時もあったけど、尚信がやりたくても出来ない環境に置かれてるせいか始めづらくて。
なんだかんだで半年過ごしてきて
今更バイト始めてもめんどくさいし来年受験じゃん、と自分に都合の良い言い訳考えて。
お人好し通り越して馬鹿だ。
「軽音、やりたい。」
腕のなかに顔を埋めた。
「言ったね?」
隣で水瀬拓真が意地悪そうに確認する。
俺は言っちゃったね、と少し笑って答えた。
「それは軽音部で、俺達とで良いんだよね?」
「うん。」
そう言うと水瀬拓真は嬉しそうに笑い、「よろしくね!神木くん。」と立ち上がって右手を差し出した。俺は「こちらこそよろしくね。水瀬くん。」と差し出された手を握って立ち上がった。
「たっくんで良いよ。」
外の雨は少しずつ量が減ってきていた。
____というのが先程の俺とたっくんの友情が芽生えた?入部決定のシーン。
今いるのは軽音部の部室前。たっくんのLINEに[部室に居るから話終わったら来て〜〜]とメッセージが残されていたのに気づいて、お腹すいたねーなどと話ながら部室へと向かったのだ。
真代瀧にニコッと笑顔を見せられて、軽く会釈する。真代瀧の奥には口を一文字に結んだ尚信の姿と半年前の騒動の時とは違う綺麗な部室。
壁や床にはスプレーやチョークで落書きされていたのが綺麗に消されていて、破れていたカーテンは新しいものに変えていた。
少し躊躇して足を踏み出す。
「尚信………」
心臓がどくんどくんと力強く打つ。
「俺さ、やっぱり軽音やりたい」
後ろで真代瀧が振り向いた。
「尚信でさえよければなんだけど!」ここに来るまで練習してきた言葉。「もう1回軽音やろう」
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まきゅもきゅ@九松(プロフ) - 結咲。さん» こちらこそありがとうございますぅぅぅぅぅ!貴方様の作品もずっと応援しています! (2016年9月25日 19時) (レス) id: dd6ee1b572 (このIDを非表示/違反報告)
結咲。(プロフ) - まきゅもきゅ@九松さん» ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!泣 ぜひぜひ作品見に行かせていただきます! (2016年9月25日 18時) (レス) id: aa201165a1 (このIDを非表示/違反報告)
まきゅもきゅ@九松(プロフ) - 結咲。さん» お邪魔させていただきました!すごく興味深いですね!思わず入り込んでしまうような・・・!宣伝もさせていただきますね!これからも頑張ってくださいね!私の作品もよければ見てって下さいね(笑) (2016年9月25日 17時) (レス) id: dd6ee1b572 (このIDを非表示/違反報告)
結咲。(プロフ) - ねこまんま 21号さん» ありがとうございます!(泣)ウレシすぎて死んでしまいたい!(泣)更新頑張ります! (2016年9月18日 12時) (レス) id: aa201165a1 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまんま 21号(プロフ) - 面白いです!! 更新、頑張って下さい!! (2016年9月18日 11時) (レス) id: 0270f76ad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結咲。 | 作成日時:2016年7月26日 14時