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Aside
｢こーすけえええええ！｣
週末、土曜日の誘惑。
いわゆる、二度寝という甘いお誘いに打ち勝ってドタバタと騒々しく階段を駆け下りる私は、どうやらご機嫌らしい。
｢朝イチから何事だよ〜！｣
｢飯出来てるぞ、あと寝癖！｣
そう言って笑うのは、私の幼馴染のこーすけ。
分け合って親からの勧めで同居している。
｢お茶漬けできてる！！？｣
｢出来てます。｣
やった！とガッツポーズで笑いかければ、口角を上げて笑い返してくれた。
｢んじゃ、さっそく頂こ〜っと！｣
そう言ってリビングの扉を開けた私に、焦ったようなこーすけの声が聞こえてくる。
否、まぁ時すでに遅しなのだが。
｢今日は来客が来て＿＿＿＿＿＿＿る｣
｢うぃーす｣
は、は、はぁぁぁぁぁぁ！！！？
スッピン、寝癖、パジャマ、全ての寝起き要素を取り入れたままの私の目に飛び込んできたのは、普段なら私が座って朝食を食べる位置に陣取って座る、毛先が赤く染まった長身の男の人と、｢はじめまして｣なんて柔らかく笑う男の人。
｢いや、えと、その…むり。｣
バタンっと勢いよく扉を閉めて、洗面所へ直行する。
顔を洗い、目元の隈をコンシーラーでサッと隠す。
髪はゆるく巻いて、ズボラの見本のように無造作に上げた前髪も下ろした。
いつもならこんなに急いで支度なんかしないのに！と心の中で悪態をついてから、自室へ向かう。
女の子らしくスカート、なんて柄じゃないから短パンにチェック柄のトップスを合わせて身に着ける。
等身大の鏡でもう一度身なりを整えてから、階段を下りてリビングへ。
所要時間、約6分。
｢がんばった…よく頑張った私…｣
リビングの扉を開けると、再び目に飛び込んでくる刺激の強い美男子二人組。
反射的に目を逸らせば、目の前に一つの影が落ちた。
｢なあ｣
｢……は、はい｣
｢はぁぁ…返事したならこっち向けっての｣
そんな俺様発言が聞こえたと思ったのも束の間、顎に指をかけられたかと思えば視界が突然明るくなって目の前にはアップの赤髪さん。
｢な、なんですか！｣
｢意地はらなくていーから。
お前名前は？｣
なんですか、しか出てこなかった。
そんな目で見つめないで欲しい、そう言ってしまったら良かったかも知れない。
｢……A…です｣
｢ふ、かわいーじゃん｣
ぽんぽんと頭を撫でられて驚きと動揺が隠せない。
かわいい、という言葉が、声が頭から離れない。
｢……へ？｣
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作者名：三井 | 作成日時：2018年5月22日 19時
