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地方の朱家から姑蘇藍家までは遠い旅となる。
山を越え、いくつもの村を宿とし目的の場所を目指した。
山の上にそびえ立つ雲深不知所に息を呑む。
姑蘇藍家だと示すにはとてもいい建物だ。
門を潜る時、ふと足が止まった。
門弟「A様？」
__一度踏み入れば、
もう二度とここから出られない。
何の躊躇もなく、踏み込んだあの日を思い出させるには十分だった。
姑蘇へと私を追い出したと思っている朱家の奴らを思い浮かべる。
私が奴らを破滅させる日が来たら、どんな表情をするだろうか？
考えるだけで、口角が上がってしまう。
「いいや、なんでもない。」
破滅の道の一歩を踏み出した。
曦臣「長旅でしたね、疲れているでしょう。」
相変わらず優雅な藍家の宗主に挨拶をする。
「お出迎えいただき、光栄です。
よろしくおねがいします。」
曦臣「部屋を案内しよう。付いてきなさい」
広い離れに、
綺麗な情景、
鍛錬に励む門弟たち、
あの家とは何もかも違う。
曦臣「気に入りましたか？」
「…とても綺麗な場所ですね。」
綺麗なものほど、つまらないものはない。
なんて言ってしまえば、この人はどんな表情を見せるのだろうか。
心の中で毒を吐きつつも、微笑みで隠した。
私が求めるものは、
力だ。
醜く卑劣でも、
相手さえ陥れるのであれば何でもいい。
先人が残した功績などどうだっていい、
そのために美しく繕う。
ここで、力を身に着けないといけないのだ。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
