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涙は枯れようと、深く傷ついた心は癒えない。
ひっそりと、雲深不知処の離れに暮らす。
曦臣「…、A様」
「…、」
静まり返った部屋で何をするわけでもなく、ただ外を眺めていた。
目には隈ができていて、精気がまるで見られない。
一人にしないと、決めたから私は面倒を見た。
曦臣「ここ数日、…寝てないでしょう。
隈が酷い。」
「…」
その瞳は何も映していない、
頭が痛むようで痛み止めを異常に摂取した。
完全に、壊れてしまったのだ。
曦臣「せめて、薬を飲んでください。」
口元まで水に混ぜた薬を持っていく。
「…、」
何をしても反応は得られない。
細い手を握り、語りかけた。
曦臣「羅漢は、…貴方に生きろと仰りました。
それをないがしろにするのですか。」
暗い瞳が揺れた、
「…、わからない、
どうして…私を生かした、？」
か細い声が嘆いた。
「…今の私に、生きる意味はあるか？、」
__どうか…生きてください、
無理だ、
全て、崩れ落ちてしまった。
唯一の心の拠り所さえ、跡形もなく散ってしまった
曦臣「…、そんなことを言わないでください。
貴方は、…聡明で、強く、人を魅了する力がある。
生きてさえいれば、やり直せる。」
「…、何をやり直せと、？」
皮肉めいた言葉だけが返ってきた。
今の彼女に響く言葉など、なかった。
__馬鹿ねぇ、こんなことのために生きてきたなんて
「失ったものは…二度と戻らない。」
ガンガンと、頭痛がする。
あの日の光景と、信頼を寄せていた者に裏切られた絶望がどん底に落とす。
生きろ、などなんて無責任な言葉なのだろうか。
__この傷を背負って、どこに行けばいい？、
時が経てば、風化してくれるのか？、
___何故、何故…わたしを裏切った？、
答えのない問いを暗闇の中で、自問しても答えてくれるものなどいない。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
