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曦臣「、それ以上は言ってはなりません。
羅漢は貴方のために、
貴方のことを一番思っていたではありませんか。
それなのに何故そんな言葉が言えるのですか？！」
掴んだ細い腕に思わず力が入る。
___貴方なら、知っているはずだ。
彼がどれだけ献身的に支えてきてくれたかを。
曦臣「貴方のために命さえも投げ売った、…
彼は貴方のために、___」
「そんなこと…、私が一番よくわかっている。
頼むから、
____もう、…これ以上何も言わないでくれ」
震えた手にやっと気づいた。
_____彼女の瞳から涙が流れていたことを。
その綺麗な瞳には、大きな悲しみに飲み込まれた。
ずっと、ずっと彼女は泣かないでいたのだ。
怒って、
憤りを溜め込んだ。
怒りと憤りで、すべてを乗り越えようとした。
怒りと憎しみでその体を奮い立たせていたのだ。
そうでもしないと折れそうなこの花は、
すべてを憎む他なかった。
「うっ、う…」
かける言葉すら見当たらなかった。
己の未熟さと彼女の悲しみに、心を痛めた。
上老「この一件を、どうするつもりだ。
前代未聞だ。」
ほとぼりが冷めることはなく、処理に追われた。
藍啓仁「…、」
老師達が騒ぎ立てる。
上老「…朱Aに説明を要求する他ない。」
曦臣「それは…、なりません。」
一斉に視線が集まる、渋々と目を細める者や眉をひそめる者がいた。
上老「では、この件をどうするつもりだ？
何か案でもあるのか、沢無君。」
あの後、連れ帰った彼女を思う。
なんの曇もなかったあの瞳は陰り、
食は細くなる一方だ。
もはや、己が生きているのか死んでいるかの区別もつかないほど意気消沈している。
曦臣「…、その件に関しては私が引き続き調査いたしましょう。」
藍啓仁が会議の末、尋ねてきた。
藍啓仁「…何故お前がそこまで肩入れをする？」
曦臣「…彼女はなんの罪を起こしたのでしょう？
一人にはさせないと、約束したからです。」
羅漢『お願いです、A様をどうか…』
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
