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地方の仙師が集う大会がある。
姑蘇藍家のような名家ではなく、地方の家門が主役のこの大会は数年に一度開かれる。
名家がその腕前を拝見することこともあるため、
各家門はこの日のために勢力を上げてくる。
男「姑蘇藍家の沢蕪君だぞ！」
早速騒ぎ立てた門弟たちを冷たい目で見つめる。
彼らの目線の先には由緒正しき藍家の者たちがいた。
相変わらず、清く正しく美しい。
その姿に顔を歪めそうになる自分がいた。
あの時のように目が合う、微笑んでくる時点で覚えてくれていたのだろう。
曦臣「あの時、以来ですね。」
「沢蕪君に覚えられているとは、恐縮です。」
曦臣「夜狩りの賜物を拝見するのが楽しみです。」
「えぇ、家門の代表として恥じない結果を残すことを約束しましょう。」
心のなかで毒づきながらも微笑み返した。
剣技の才を競い合い、家門の総力を示し合う。
一際目立ったのが、やはり朱家の若様だった。
その目立つ容姿もだが、軽々と舞う剣は次々に敵を倒していく。
隣にいた叔父、藍啓仁が髭をさすりながらその様子を見る。
啓仁「ほう…あれは朱家の者か？」
曦臣「彼を知っているのですか？」
啓仁「あの姿を見たら、わかる。」
そういえば、多くの上老たちが興味深そうに観戦しているように伺える。
啓仁「朱の若様に、そっくりだ。
きっと親子なのだろうな。」
感慨深く瞳を閉じる姿は何かを思い出しているようだ。
曦臣「彼のお父上でしょうか？」
啓仁「朱春雷だ、
剣技の才を持ち霊力も群を抜くほどだった。
数十年前に戦死してしまったが、生きていたら彼が当主として繁栄させていただろう。
こうして見ると、彼が蘇ったかのようだな。」
蘇る、それはたとえの話だろう。
彼の父親はとても優れた者であり、
彼のように美しかったと人々は口にした。
彼は予告通り、上位を収める結果を残した。
仙門がどの家門を下に取り入れるか吟味する。
まず、取り囲まれたのが朱家の彼だった。
上老「…まるで父親の生き写しのようだな。」
「よく言われます。」
上老と話す姿はいつもと変わらない。
いささか綺麗すぎる笑みを浮かべていた。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
