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静かに眠る彼女を看病するのは二回目だった。
その様子を心配そうに見つめていた羅漢は、私の方に正面から向かい合い腰を下ろした。
その目は覚悟を決めたように揺るぎなかった。
羅漢「この度は、A様をお助けいただき誠に感謝しております。
もし、貴方がいなければA様は死んでいたかもしれません。」
律儀なお礼に目を細める。
曦臣「私は…手を貸すといいました。
ですが、これ以上は知らないふりをすることはできません。
一体何があったのですか？」
もう少し到着が遅ければ、彼女は怨霊の餌食になっていたかもしれない。
暗い谷の底に倒れていたのを発見したのは偶然だった。
羅漢の重い口が開いた。
羅漢「…A様は朱家の当主になるため、一人でこの件を片付けようとしたのです。
当主になる、それは…
A様の唯一の望み、＿＿復讐です。」
曦臣「復讐、ですか？」
その重い響きに、戸惑いを隠せなかった。
羅漢「はい、…まだA様が朱家に来て二年のときでした。」
＿冷たい雪の降る日だった。
羅漢「A様のお母様が、
＿＿＿＿離れで首を切られ惨殺されたのは。」
その言葉に息が止まった。
羅漢「その事件は、朱家により事故だと隠されましたが、
それは確かに他殺でありそれをしたのは…
＿＿朱家の人間です。」
曦臣「何故、言い切れるのですか？」
羅漢「昔、同じ場所で先代の妻たちが同じ事件を起こしたからです。
当時は、妻の座を取り合い殺し合いました。
自ら火を放ち、火災による事故として隠蔽しました。
それを知るものは朱家の者だけです。」
血海の中に、一人母を抱き上げたあの姿を思い出す
羅漢「それを知ったA様は、誓いました。
＿＿必ず犯人を見つけ、殺してやると。」
朱家の人間をさぐるために、若様として生きた。
羅漢「私は…その行く末を止めもせず、協力することを誓いました。
A様はあの家を滅亡に追い込むつもりです
A様の罪はすべて、私が背負います。
たとえ、それがどんな結末を迎えようとも、…」
頭を静かに下げた。
羅漢「、私にはあの人は救えない、
どうか、A様を救ってください。」
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
