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部屋で一人、酒を飲む。
ここでの飲酒は禁じられているが、バレなければ良いのだ。
羅漢からの手紙を読み、近況を把握する。
やはり、この前の件は朱家の者たちの企てらしい。
「…妙だな」
なぜ、奴らが怨霊を操れる？
狙いを私に定めて、操るほど霊力があるものはいない。
ましてや、邪道なんてものを扱うことできないはずだ。
邪道でないのなら…なんだ？
何を使った？、
他の勢力でも加担しているのか？、
十数年前のあの事件から、敵は見え隠れしては掴めない。
一体…何が目的なんだ？
机に置かれた手紙を横目で見る。
＿先代は依然として、病に侵されております。
あの儀式が行われることになりました。
梅林様がA様と出席することを望んでおられます。
羅漢
朱家にある仕来り、先代からの儀式だ。
と言っても、大したことのないものであるが…
病に伏せている先代が決断したことですれば、存在意義が変わってくる。
当主の座を狙うものとしては、これ以上にない儀式になるに違いない。
それに、…私が姑蘇から帰る予定に近い。
＿まるで、私が帰ってくるのを待っているような
きっと私は、そのまま姑蘇から帰ってくることになるだろう。
二度と飛べないように羽を折る算段なのか…
「受けて立ってやる…」
煮えたぐる何かを抑えながら、口角を上げた。
「朱家に戻ることになりました。」
その言葉に眉をひそめる。
わかりきっていたことだ、ここでの修行は一年間だけの話。
曦臣「…貴方はまだあの件を解決していません。」
彼女が好意的に怨霊に襲われたことについてだ。
彼女がそのことを野放しにする理由があるのか？
それともわかっていて、わざとそのままにしているのか。
どちらにせよ、彼女は何かを隠している。
男にしては小さい背で負うにはあまりにも大きすぎるものを…
「先代が病に伏しておられます。
今の朱家を支えるために、戻るのです。」
優秀な彼女が、朱家の座を守るためで向かうのは理解できる。
だが、その口調もその綺麗すぎる笑みも本性ではないことを知ってしまった。
曦臣「…貴方は私に何も言ってくれないのだね。」
＿どこか手の届かない、場所に行ってしまう。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
