火花壱 (ページ15)

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解れた足の包帯を巻き直す。

何とも言えないような表情でそれを見つめる彼。

「…うっとおしいです。」

その眼差しが酷く居心地を悪くさせる。

曦臣「…足はまだ治っていません。大人しくしていてください。」

「このくらい問題ありません」

曦臣「だめです、任務には連れていけません。」

「…」

ここにいるには、ここのやり方に従わなければならない。

曦臣「…貴方が隠していることを言うように無理強いはしません。

ですが、あの行動はあまりにも危険です。」

「説教ですか…？

確かに私は姑蘇藍家の管轄の下にいます。

ですが、あなた方に罰せられる筋合いはない。」

彼女は傲慢で負けず嫌い、そして神経質であった。

美しい仮面の下に隠し持つ顔が明かされる。

曦臣「…」

「…この世の不利益は、全て当人の能力不足から生み出されるものです。

この怪我も、私の責任です。」

利己的で強欲な思考を持つ。

その姿に何も言う言葉が見つからなかった。

「驚きましたか？

…人間の本性なんてこんなものですよ。

どんなに取り繕うが所詮は醜い欲の塊。」

鼻で笑うように吐き捨てた。

曦臣「…誠の心も持ち合わせています。」

「誠の心…？呆れますね、そんなものは下心を勘違いしているだけです。」

曦臣「…あの時、言っていたではありませんか。

妓女であっても、気高く美しく咲き誇る華だと。」

自分もああなりたいと、

あの時の面影に淡い期待を寄せる。

「言葉巧みに騙されただけのこと。

…口先だけではいくらでも言える。」

曦臣「…」

彼女、いいや…彼が見据える先は何なのだろうか。

一体、何が起ころうとしているのか…

怪しげな暗闇の中、月は美しく光り輝いていた。

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