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任務のために山奥に入る。
曦臣「そういえば…朱の若様と初めてお会いした時の怨霊が、襲いかかってくるのともなくあなたの方へ向かった。
覚えてませんか？」
森の情景をみて、思い出したのだろうか。
「さぁ、咄嗟のことだったので…」
忘機「…」
勘のよさにひやひやする心を落ち着かせる。
「偶然ではないでしょうか。
その話が今回の件に関係あるのでしょうか…」
偶然か、必然か
そんなことがわかってどうなる？
曦臣「少し思い出したので…」
心の中で舌打ちをする。
_余計なことをしやがって…
この件は朱家の息がかかってるに違いない。
夜狩りで私だけが襲われそうになったのがいい例だ
仮にただの偶然だったとしても、奴らがどんな手を使ってでも私を陥れようとしてくる。
それでいい…、その腕を根こそぎ切り落として二度と使えないようにしてやるまでだ、
心の中で、燃え上がる憤りを静かに隠した。
藍家の奴らに勘付かれる前に片付けてやる…
ガシッ、
そんなことを考えていると、地面から足を掴まれた
「っ、」
曦臣「若様！！」
足を掴む怨霊を祓うが、それが合図のようにいきなり数体姿を表した。
すぐさま二人が応援をするが、なんにせよ量が多い
曦臣「陣を引きます！下がってください」
足を捻った私を配慮しているのだろう。
だが、そんなことは耳に入らなかった。
見えたのだ、人の影が。
このザマを喜んでみているに違いない。
曦臣「若様、！危険です、」
一人足を引きずりその群れに飛び込もうとするのを止められる。
掴まれた腕を、強く振り払った。
「っ邪魔するな、私は、
…こんなところで負けるわけにはいかないんだ！」
藍家の二人がその姿に目を開いた。
いつになく、余裕がなく怒鳴る姿に驚く。
その瞳に宿した炎は、憤りと憎しみといった人間らしいものであったから。
突っ走って、影を追ったがもうそこには誰もいなかった。
足の痛みがジクジクと体に響き始めた。
「クソッ、…」
こんなところで…倒れるわけには行かない、
そう思っているのに、ふらりと力が抜けた。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
