【約ネバ】私達、僕達、俺達の日常【短編集】

ほんとのこと言ったら、怒られるからね/レイ ページ29

筆・桜木紅葉

A目線
「ねぇ、レイ。さっきのお茶に何混ぜた？」
「…知らない」「嘘つかない。レイが嘘つく時は目逸らしするの。正直に言う。」と威圧感全開で問う。
「…猫みたいな性格になる薬」「…なるほど。ノーマンからか。」「……」「沈黙は肯定。」「うっ…」
はぁ…とため息をする。猫みたいな性格か。クール…そんな性格になる薬か…


…いや、どちらかといえばこれ犬じゃない？レイに飛びつきたいよ？なでなでしてもらいたいよ？イチャイチャしたいよ？

色んな思考を巡らせた後、欲望に素直になることにした。

レイの膝の上に乗る。ハグした所でレイが背中をぽんぽんと軽く叩いてくれる。

「…違う。」「違うのか？」「なでなでがいい」「はいはい」

優しく撫でてくれるレイ。いつもなら数秒で満足する私だけど、何故か全然満足しない。

「もっとするのか？」「ずーっとしてて」「ハグは？」「ぎゅーもして」「ん、分かったよ」

ぎゅっ、と軽く抱きしめられる。

「レイ、好き」「俺もだよ、A。大好き」「じゃあ私は愛してる」「俺も愛してる」

数秒の心地よい沈黙があった後、二人で笑いだす。
ああ、こんな幸せが一生続けばいいな。


レイ目線
……「自分の欲望に素直になる薬」そんなものをノーマンが作って、エマに飲ませたらしい。
「もうほんと可愛かったんだよ…一週間の持続性がある薬にしたんだけど、少しでも女の子と喋ると涙目なの。妬いちゃった？って言うと素直に頷いてね、家に帰るまで手繋がれて…」

レイもAに飲ましてみなよ、数十分だけ効果が効くようにした改良版あげるから！と強引に渡された薬。液体状で、透明。ノーマンのことだから、味もしないだろう。

一応、いつもより濃いめに入れたお茶に入れて、飲ます。
数十分後、顔が赤らんできたA。もしかして、そういうのだったか？と思って焦るが数回言葉を紡ぐとすぐにスキンシップしてきた。

寝る時にしている、背中を軽く叩いてみたが不評。撫でてほしいと言われる。珍しい、「感覚で分かって」など言われず言葉で要求される。

一時間ほどで効果は無くなったようで、ただじゃれてる時間になった。
くすぐられたり、くすぐったり。頬に口づけをされたり、唇に口づけして顔を赤らめさせたり。

とても有意義に、勉強したりして満足感を得る、そういう満足感ではない他のなにかを感じながら一日を過ごせた。

ああ、幸せだな…こんな日が、壊れませんように。

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