君で始まる運命 (ページ6)

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甘党ページ6

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甘いものが好きだって言ったっけ？俺は好きでも嫌いでもなかったけど強いて言うなら嫌いだった。それなのに先輩が好きだと言ったチョコレートを毎朝コンビニで買うのが日課になっていた。おかげで店員の顔も覚えたし俺の顔も覚えられてたと思う。ほらまた今日も来てしまった。

「あれ、……くん？」

声なんてずっと聞いていなかったはずなのに。誰だかわかってしまった。意外にも再会はお酒が陳列されたコーナーで。嬉しさを悟られないようにと思っても少し無理があるようだ。お久しぶりです。すると先輩も同じビールを手に取り本当に久しぶりと呟いた。あんな甘党だったのに。こんな苦いものを飲めるようになってんだ。

「飲めないよ？甘くないと飲めない」

大きくて丸い目をさらに丸くして俺を見つめる。思っていたことを口にしてしまっていたらしい。変わってなかったあの頃と。そんなことで頬が緩むなんて。この気持ちは何をさしているのだろうか。

「でも今は甘くても飲まないかな」

飲めないじゃなくて飲まない。よくわからなかったけどそれ以上は聞かなかった。お腹を優しく撫でながらそう呟いた彼女はきっとそういう事だ。

訂正､あの頃とは随分変わってしまった。

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