優越感 ページ5
「この人…」
本を確認していた時だった
全部同じ作者さんの本だと気づき
そしてどこかで見たような気がしてならなかった
あ…！
「和歌ちゃん！和歌ちゃん！」
本を戻し終わり近くの本を立ち読みしていた和歌ちゃんを呼んだ
「和歌ちゃんこの人の本好きだよね！？」
「わぁぁぁあ！」
和歌ちゃんは私の持ってる本をのぞき込んだ途端
いつもより大きくて弾んだ声をあげた
「新作！もうここの図書室にあるんだ！」
借りる！と連呼しながら
自分の貸出カードを取り出す和歌ちゃん
この作者さん好きなんですか？ あ、好きです
と和歌ちゃんと颯の間で交わされる会話
「じゃあ、この人とかも？」
和歌ちゃんがさっき立ち読みしていた本を
颯の目の前に出した
颯の顔がパッと明るくなり声が弾んだのがわかった
「…あ、全部家にあります！」
私は本のことは全く分からないからおいてけぼりだ
「全部ですか！？羨ましい…」
鎖骨らへんがギシギシと痛むのを感じた
それが何かは分からなかった
「羨ましいー貸してほしいー」
2人の会話を遮るように口が動いていた
「いや、お前思ってねぇだろ！」
颯の言葉が私に向けられたのを確認すると
じわじわと安心感が沸き上がってきた
和歌ちゃんは私たちの親密さを不思議に思ったのか
「2人は…知り合い？」と尋ねてきた
「知り合いというか、幼なじみ？」
「悲しいことにな」
ひどくない？と返すと通常運転〜と答える颯
こんなに颯の素を見せてくれるのは私にだけ
どうしてかこの時だけは和歌ちゃんに優越感を感じていた
私たちの茶番を見てクスクスと笑う和歌ちゃん
「ほんとに貸してほしいの？…本」
ほんとに本読めるの？とからかいの入った颯の言葉に
「私活字無理系女子なんで〜」
と、明るい自虐で返す
「和歌ちゃんに貸してあげたら？」
どうしてこんな言葉が出たのか分からない
優越感に浸りたいだけならこんなこと言わなくてもいいのに
「いいんですか！？」
カウンターに身を乗り出し颯を見つめる和歌ちゃん
和歌ちゃんの大きな目はいっそうキラキラとしていた
颯は声は出さずにゆっくりと頷いた
颯が首を縦に振ったのを見た和歌ちゃんは
いつもの、私の好きな、笑顔を颯に向けて喜んだ
きっとこの時颯の中で何かが変わった…
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主人公の少し性格の悪い部分が垣間見えます
まぁ少し性格が悪い方が親しみもてますよね笑
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すぅぷ(プロフ) - りんりんさん» こちらこそありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！！頑張ります！ (2018年9月6日 2時) (
レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 更新ありがとうございます！このお話本当に大好きです！！切なさで胸が締め付けられました！次の更新も楽しみにしています！！ (2018年8月28日 6時) (レス) id: e4d7412d78 (このIDを非表示/違反報告)
すぅぷ(プロフ) - 雛さん» ありがとうございます！切なさをテーマにしていたのでそう言って頂けて嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年8月9日 11時) (レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
雛 - とても良い作品で一気に読んでしまいました！切ないけど凄く感情移入ができて面白かったです！更新楽しみにしています！頑張ってください(●´ω｀●) (2018年8月3日 23時) (レス) id: cb1b5669c8 (このIDを非表示/違反報告)
すぅぷ(プロフ) - ぴーち。さん» 憧れていた方からのコメントとても嬉しいです！私もぴーち｡さんの作品楽しく読ませていただいてました！頑張りますありがとうございます！ (2018年7月7日 9時) (レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すぅぷ | 作成日時：2018年4月22日 23時
