色水

平常心 ページ29

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あれから秋が冬になり




今年も何だかあっという間だったなぁと呑気なこと思えるくらいにはなった




颯の家からは私のものが消え




私の家からは颯のものが消えた




私の隣には颯はいないし颯の隣には私はいない




クリスマスに1人とかちょっと寂しいけど




結構早く平気になるもんだなぁとあっさりしてる自分に驚いている




今思えばただただ重い女だったことにも反省中




ぼんやりと天井の一点を眺めていた時だった




着信音




体を起こしテーブルの上の携帯に手を伸ばす






「もしも……「A！！！暇でしょ？！今すぐ来て！！」






機会越しに友人の声が響く




私まだもしもしすら言えてなかったんだけど…？




キーーンと耳が鳴るのが治まるやいなや







「今カラオケいるんだけどAも来ない？」






カラオケか…………長い間行ってないけど、




午後5時……今から行くのも何だかなって




私が渋りあげてるのを察したのか友人の甘い誘惑が発動した





！！！！





「タダ飯！！？行く！どこ！？すぐ行く！」









なんて勢いよく言ったものの




帰宅ラッシュに巻き込まれるわ、




街はクリスマスムードで溢れかえってるわでなんだか疲れてしまった




店先で手招きする友人の元へ走っていった




部屋に案内されながら話を聴くと




塾講のバイト同期で集まっているらしい




とにかくお腹の空いていた私はお疲れ様でーすと躊躇なく部屋に入った





……へ？？





同期とそれから誰だ？って方が何名か……




ニコニコと営業スマイルを振り撒き部屋を後にする




早速だけど友人に事情聴取だ






「待って、どういう状況？？」




「いや〜、まぁ、その、軽い合コン？的な？」






ほら最近彼氏と別れたじゃん？




今日も家でゴロゴロしてたでしょ？




それにAみたいな男子ウケいい子1人くらいいなきゃダメなの！




合コン初なのも分かってるけど大丈夫可愛いから







どこからこんな思ってないことがつらつらと…








「Aちゃんね！よろしくね！」







なんて思ってたのにまんまと乗せられてしまうのが私の悪い癖だ






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