嘘 ページ20
．
新山さん！
小さくなっていく新山さんの背中を見て
追いかけないとと思った
そう思うより先に体は動いていて図書館を後にしていた
新山さんは俺が追いかけていることに気がつくと歩くのが早くなり
俺がまた追いかけると今度は逃げるように走っていった
「新山さん！！」
新山さんの手に手を伸ばす
新山さんの足が静かに止まった
「……川上さん、すみません…………」
打ち上げの時も今も、と……
新山さんは全くこっちを向こうとせず
俺には背中を見ることしかできなかった
(私は一生勝てないんです……)
いつかの言葉が繋がった
「一生勝てないって、わかちゃんって子…………」
わかちゃんという言葉を出すと
新山さんは勢いよく振り向いた
日も沈み真っ暗な世界でも分かるくらいに
新山さんは泣いていた
目にゴミが入っちゃって……と苦し紛れの言い訳をしながら
新山さんは涙を拭うように目元を擦っていた
「そんな嘘、つかんといかんの？」
「嘘ついても…………一緒にいたい人なんです」
「そんなん新山さんが辛いだけ」
「颯が笑ってくれたらそれでいいんです……」
新山さんはこんな1番に水上のこと想ってるのに
そんな水上は違う子を忘れられてなくて
俺にしとけばいいのにって思った
でも…………………
その言葉は新山さんに求められてないことくらい
簡単にわかった
「我慢しなくていいんだよ彼女なんでしょ？」
「でも颯は気づいてないから…気づいたら悩んじゃうから……」
俯きながら声を震わせながら呟いていた
「颯はたくさん悲しんだからもう悲しんでほしくないんです…」
いつまでたっても水上のことばかりで
どうしてそんな子が報われないのか分からなかった
「いつになったら自分のこと大切にするん？」
「私は……………！…颯？！」
目には涙を浮かべ言い返しに来たと思ったら
水上を見つけるや否や涙を拭う新山さん
「私………先帰ります…！」
「新山さん！」「A！」
新山さんは俺たちの声なんか聞こえてないふうに暗闇に消えていく
水上が新山さんを追いかけようとしたけど止めていた
今はそういうことじゃないと思う
余計なお世話なのはわかりきってる
でも俺だって好きな子の悲しむ姿は見たくなかった
．
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すぅぷ(プロフ) - りんりんさん» こちらこそありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！！頑張ります！ (2018年9月6日 2時) (
レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 更新ありがとうございます！このお話本当に大好きです！！切なさで胸が締め付けられました！次の更新も楽しみにしています！！ (2018年8月28日 6時) (レス) id: e4d7412d78 (このIDを非表示/違反報告)
すぅぷ(プロフ) - 雛さん» ありがとうございます！切なさをテーマにしていたのでそう言って頂けて嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年8月9日 11時) (レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
雛 - とても良い作品で一気に読んでしまいました！切ないけど凄く感情移入ができて面白かったです！更新楽しみにしています！頑張ってください(●´ω｀●) (2018年8月3日 23時) (レス) id: cb1b5669c8 (このIDを非表示/違反報告)
すぅぷ(プロフ) - ぴーち。さん» 憧れていた方からのコメントとても嬉しいです！私もぴーち｡さんの作品楽しく読ませていただいてました！頑張りますありがとうございます！ (2018年7月7日 9時) (レス) id: 99765c099f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すぅぷ | 作成日時：2018年4月22日 23時
