〈 広報 in 飛行機�� 〉 ページ8
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――私たちを乗せた飛行機が羽田空港を飛び立ったのは、深夜2時頃のことだった。
行き先はマイアミだ。世界一奪還に向け、当然私たちスタッフにも気合いが入る。
私でさえドキドキしているのだから、実際にプレーする選手の緊張は計り知れないだろう。重荷に感じている選手がいなければいいのだけれど。
「ね、AちゃんもUNOする？」
「……牧さんて緊張感とかないんですか？」
……なんてことを思った矢先、やけにウキウキな牧さんが後ろの席から顔を出してきた。普通に心配した気持ち返してほしいな。
「負けたら罰ゲームあるんだけどさ」
「何その修学旅行みたいなルール……」
「隠してた秘密を1個言うっていう」
「マジで修学旅行じゃないですか」
私たちが飛行機に乗ってるのは野球をしにいくからなんですが。シンガポールとか行くんじゃないんだぞ。
「……一応誰が参加するんですか？」
「俺とー、源田さんとー、ムネとー、あと翔征」
「……」
「あ、ちょっと気になってきた？」
牧さんが一気に笑顔になった。……ちょっと好奇心出るメンツでやるのやめてほしい。戸郷くんの秘密とか普通に聞きたいんですけど。
「あとね、今ムネが城石コーチ誘ってるよ」
「……行く」
「ヨッシャー！！」
ダメ押しの名前に思わず頷き、途端に牧さんが大袈裟なガッツポーズを作る。
かくして、UNO大会への参加が決定した。……深夜2時に何やってるんだろうなあ、私。
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「アアーッッ！！何でドロー4なの！ねえちょっと牧さんの隣嫌なんですけど！」
「ププーッ！Aちゃん用に取っといたんです〜〜！！」
「最悪！城石コーチに渡したくないからリバース来るまで待ってたんでしょ！」
「そりゃそうでしょ。コーチは絶対だもん」
「こんな悪行許していいの……！？」
トイレから席に戻ろうとしたところでやけに盛り上がる集団を見つけ、ふと足を止めた。
「……何してんの？」
「あ、哲さんだ」
そのうちの1人、ムネに話しかけると、楽しげな顔がこちらを向く。……何やこれ。UNO？
「Aさんがボコられてるとこです」
「何やそれ」
「結構盛り上がりますよ。哲さんも次やる？」
尋ねられ、四苦八苦するAを見やる。顰めっ面だ。いくら何でも本気になりすぎだと思うのだが。
「………やる」
何となく眺めていたくなって、気付けばそう返事をしていた。
ムネは何故か満足そうに笑った。
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作者名：あちちっ！ | 作成日時：2023年8月11日 14時
